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消極的すぎる日本勢、自己主張する中国勢…日中韓オーディション番組『ガルプラ』に見る日本人アイドルの「壁」

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2021/09/10
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実力派9人のチームワーク

 しかし、「THE EVE(前夜)」チームは不協和音を奏でることになる。

 このチームでは、多くの検討を重ねずに各役割を決めていった。そのまま臨んだK-POPマスター向けの中間評価では、そのパフォーマンスはさほど高く評価されなかった。個々人は上手だが、チームとしてまとまっていないと講評された。

 そのとき、ユ・ダヨンがパート編成に不満があることを口にした。彼女はメンバーの前でみずからの意見を言えなかったが、実はさらなるテストと議論をしたうえで各パートを決めることを望んでいたと打ち明けたのだった。

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 状況的には、おとなしい参加者が強気な性格の参加者に押され、その不満を審査員に暴露した──ということになる。視聴者の反応は分かれた。気の弱いユ・ダヨンを気づかわなかったリーダーのフー・ヤーニンを批判する向きもあれば、ちゃんと意見を言わずに「チクった」としてユ・ダヨンを批判する意見も散見された。

 K-POPマスターはこのことでチームワークの欠如を感じ、ちゃんとコミュニケーションをとるようにアドバイスした。そしてメンバーたちは再度話し合いの場を持ち、パート再編成についての決を採った。すると7人が挙手をする。キリングパートを務めるスー・ルイチーも、周囲を見ながら「全員そう思うなら、いいよ」と賛同した。

 リーダーのフー・ヤーニンは言う。

「そんなことはまったく知らなかったです。だれも意見を言わなかったから」

 この場面だけを踏まえれば、はっきり意見を言う中国勢ふたりに対して周囲が遠慮をしていた、ということになる。コミュニケーション上の齟齬が生じていたのだった。

 コネクトミッションにおける最大のハイライトは、ここだった。

 実力派の多いこの9人には、おそらくデビューメンバーに残る者もいるはずだ。だが、それにもかかわらず──というよりも、だからこそチームワークに問題が生じてしまった。