やっと終った東京五輪。鬱陶しい気分が少しは解消されたかと思ったら、今度は陰惨な顔をした首相が、総裁選出馬断念だって。

 まだパラリンピックの最中なのに、総理を放り投げ。何が何でも五輪を開催しないことには、世界中の笑い者になる。その一念でゴリ押しを重ねて開催を強行し、閉会式までこぎつけたから、辞めてもいいやとなったのか。パラはどうでも良かったんだよ。

 とたんにテレビの画面がザワつき始める。昼の民放各局では、田﨑史郎など政治評論家が嬉しそうに喋りだす。「私が、ある派閥の閣僚経験者に聞きますとね……」。菅退陣の裏事情を語ってみせるんだけど、どうにも説得力がない。

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 何しろ私たちは〈菅9・6「首相解任」〉を予告した本誌スクープを読んでるからね。いまごろ、後出しで“内幕情報”を話されても、説得力がない。情報ソースも、中枢からほど遠い議員とスマホで、二、三分話しただけでしょ。

 田﨑さんも大変だね。最近はそんな目で、彼の「与党の大物議員の話では」を聞き流している。昼ワイドも、様変わりした。『大下容子ワイド! スクランブル』では、元テレ朝政治部長が政局の流れを語った後に、茶髪の若者が「ボクの周りでも、政治オタクたちが、次の総理は誰か、菅降ろしのキーマンって実はといった話で盛り上がっていますよ」と語りだす。

 若新雄純。プロデューサーで実業家、慶大特任准教授って肩書きからして胡散臭いし、年齢も非公表。

 既成の文化人タレントとひと味異なる発信力を持つ人物を出さなきゃ。若新クンの茶髪は目立つ。でも、もっとインパクトあるゲストを見つけなくては。

 銀髪に革ジャンの宮田裕章はデータサイエンスが専門の慶大医学部教授だ。世の中に発信するには、個性がないと伝わらないが持論。「この髪も、だから染めたんです。テレビで一度見たら忘れないでしょ」

 コロナと次期総理を巡って、インテリ芸能人たちが競い合う。でもね、坂上忍の『バイキングMORE』を見てると、腹を括って自論を展開するのが王道、と思う。五輪、コロナを巡っても、政権やネットの圧力など無視して、権力におもねるゲストとはとことんやり合う。見てて気持ちいいよ。降ろせるものなら、降ろしてみろよの気迫だ。

坂上忍 ©文藝春秋

 芸能人も坂上に感化されて、自分の思いを語りだした。田村淳にカンニング竹山は、ブレることなく権力批判。松嶋尚美も、言うときは言いますからね。

 坂上君たちをディスる連中も多いが、ケンカ上等、悪名も力だ。中身のない政治予想屋とか経済最優先の哲学者なんかより、子供のころから芸能界を生き抜いてきた彼には、堅気にはない胆力があるもん。

INFORMATION

『バイキングMORE』
フジテレビ系 月~金 11:55~
https://www.fujitv.co.jp/viking/