全国ネットで放送されているメジャーなヒーロー戦隊ほど認知度は高くないが、地元では知らない子供たちがいないほど愛されているのが「ローカルヒーロー」たち。子供たちに夢と希望を与えるべく、地元で生まれ、地元に密着して活躍する日本全国のローカルヒーローたちを紹介しよう。(前後編の前編/後編を読む)
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ゆるキャラブームの後に……全国で200以上
「現在、日本全国で活躍するローカルヒーロー(またはご当地ヒーロー)はかなりの数に上ります。私たちが把握している限りでは少なくとも200以上で、おそらく300近いヒーローが存在しているはずです。
地元の公共団体や地方テレビ局、企業などが主体となって生まれたヒーローもいれば、極端な話、個人がドン・キホーテで売っているような衣装にちょっと手を加えて『ヒーローです』と名乗れば、それはもうローカルヒーローですからね。こうした敷居の低さも近年の盛り上がりの一因かもしれません」
こう話すのは日本のローカルヒーロー事情に精通している「株式会社ヤツルギ魂」の制作担当・横田渉氏。同社は千葉県のローカルヒーロー「鳳神ヤツルギ」を運営する傍ら、2014年から日本全国のローカルヒーローが参加する「日本ローカルヒーロー祭」も手掛けている。
「ローカルヒーローは地方局でのテレビ放送や映画などの映像作品を作るような本格的なヒーローから、地元のお祭りやイベント、商業施設などでショーを行う地元密着のヒーローまで様々なタイプがいます。最近ではYouTubeやTwitterといったSNSや動画配信サイトを使った活動も増えていますね」(横田氏・以下同)
今回は数あるローカルヒーローたちの中から特に特徴的な20組をピックアップして、その郷土愛溢れる活躍ぶりを紹介してもらった。
【秋田県】本格派ローカルヒーローの“先駆け”、「超神ネイガー」
「日本のローカルヒーローを語るうえで絶対に外せないヒーローが二人います。その一人が秋田県の超神ネイガー。2005年に地元の有志が始めた「ネイガープロジェクト」によって誕生しています。
当時は全国的にゆるキャラがブームでローカルヒーローは数えるほどしか存在していませんでした。そんな中で誕生したネイガーは、まさに本格派ローカルヒーローの“先駆け”とも言える存在なんです。
オーソドックスなストーリーやキャラクターには地元の特色が盛り込まれていて、ローカルヒーローとはこういうものだということがよく分かるし、新たな町おこしのジャンルを切り開いた先駆けとも言えるでしょうね」
戦う秋田名物「超神ネイガー」は「秋田発の地産地消型ローカルヒーロー」で、これまで秋田放送でのシリーズ放送に加えコミック、絵本など、様々なメディア展開も行ってきた。名前の「ネイガー」はモチーフになっているなまはげの「泣ぐ子はいねがぁ!」から来ている。