同い年くらいの彼女が部屋にやってくる日々
夏の暑い日。エアコンが壊れているので、青と白のストライプのトランクス一丁になりながら扇風機だけでしのいでいたが、それが限界に達する。そこで冷蔵庫の冷凍室を開けて、箱に入った3種類くらいの味があるフルーツの棒アイスを食べようとするが、箱の中にはアイスが1本しか入っておらず「最後の1本か……」と、こめかみから汗を流すのだ。
同い年くらいの彼女がおり、髪はストレートロング、明るめに染めてはいるが脳天は真っ黒で、完全にプリンになってしまっている。僕が家で寝ているとガチャっと入ってきて、部屋に散らかっているゴミを2、3個拾ってゴミ箱に捨てる。そして、ちゃぶ台の上にある3日前くらいに食べたカップ麺の残り汁の入った容器を見て「ウゲー……」と、舌を出しながら言うのである。
別の日、僕がバイトの給料日前に金欠でいると、また家に彼女が来る。彼女は空腹でゴロゴロしている僕を見て「ほらよ」とタバコを1箱投げてくれるのだ。僕は彼女に向かって手を擦り合わせながら「神様仏様~!」と言い、彼女からもらったラッキーストライクをスパーっと吸って煙を部屋の電灯に吹きかけながら「やっぱ空きっ腹で吸うタバコが一番うめーよなー」と呟く。それを見た彼女は、呆れたようでも嬉しそうでもある表情をうっすら浮かべ、ぶっきらぼうに「ばーか」と言うのである。
そんな彼女に、たまに「ごちそう食わせてやるよ」と言って、肉屋で3個入りのコロッケを買ってきて1つだけ半分に切り、1個半ずつにする。そして丼にご飯をよそい、千切りキャベツとコロッケを乗せてコロッケ丼を2つ作るのだ。最後に冷蔵庫を開けて卵を取ろうとすると、卵が1つしか無いことに気づき「あっ……」となるのだが、「特別だぞー」と言いながらその1つしかない卵を彼女の丼にだけかけて出してあげるのである。僕は「これがうめーんだよ」とガツガツとコロッケ丼を食べる。そんな僕を横目に、彼女も一口食べ「……あ、うまい」と言うのである。