1998年にアメリカのタイガー・エレクトロニクス社(現ハズブロ社)が発売し、世界で約4000万個を売り上げた電子ペット「ファービー」。日本では、1999年に現在のタカラトミーが販売元となり発売された。
本国でも、一度見たら忘れられない風貌と、コミュニケーションをとるとしゃべれる言葉が増えていく“おしゃべり天才ペット”として一世を風靡。アラサー世代の懐かしのおもちゃとなっている。
しかし、あれから20年以上が経ち、時代が令和になった今もファービーを愛している人々がいる。たとえば、Instagramで「#ファービー」を検索すると食べ物とファービー、コスプレをしたファービーなど、さまざまな写真が2万件以上投稿されているのだ。本稿では、ネットを中心に広がる“ファービー界隈”の歴史に迫る。(前後編の前編/後編を読む)
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90年代に大ブーム、当時は「ファービーサミット」も
「大ブームになった1999年は『ファービークラブ』というオフィシャルガイドブックが発売されたり、ファービーサミットというイベントが開催されたり、インターネット上にもファンサイトがたくさんありました。ファービーのコミュニティという意味では、初代の頃から界隈は存在していたようです」
こう語るのは、ツイッター上でファービー語をつぶやき、ファービー関連のツイートをリツイートしているアカウント、ファービーbot<( ◉θ◉ )>(以下、ファービーbot)の中の人だ。
ファービーサミットが一体どんなサミットなのか気になるところだが、大規模なイベントを開けば大勢の人が集まるほど人気を博していたのはたしかだ。しかし、初代ファービーの発売から数年経つとブームは下火に。移り変わりの激しいおもちゃ業界の過酷さが伝わってくる。
そんなタイミングで2005年に発売されたのが「ファービー2」だった。ファービー2は眠たげな表情が特徴的で、初代よりも高度な音声認識センサーにより、ファービーに話しかけると返事をしてくれる「疑似会話」機能が強化された。