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 で、2人の約束事として、間違うことはしょうがないけど、隠したり嘘ついたりするのだけはやめようって。お互いに味方でいようとも話しましたね。

5年以内にやりたかったことがほとんど叶った

――素敵ですね。

ゆりやん 当時、牧くんは入社2年目で、私は芸歴4年目。2人とも右も左もわからないままやっていたんですけど、牧くんに付いてもらってから、ありがたいことに東京でのお仕事がめっちゃ増えたんです。そんな中、会議室だったり、焼肉を食べたりしながら、来年はこれをする、再来年はこれ、3年後はこれ、4年後はこれ、5年後はこれなっていたいねって、5年計画みたいなものを立てたりもしていて。翌年、見返してみたら、5年以内にやりたかったことがほとんど叶っていて、2人して喜んだこともありました。

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 そんなふうに絆は深まっていったんですけど、牧くんに対しては不信感が募ってしまったというか、腹立つことがめっちゃ増えてきたんです。携帯電話の登録名も、最初は「マネジャー牧さん」にしてたんですけど、名前を呼びたくないくらいイライラしていた時に「マネジャー」に変えて。その次はマネジャーとも言いたくないから「関係者」っていう名前で登録していました(笑)。今は「牧」にしてますけど。

マネジャーの牧修平さん(左)とゆりやん

――腹を立てる原因みたいなものは、何かあったんですか?

ゆりやん いろんなことが積み重なった結果ですね。一番は私の問題だったと思います。1年の300日くらい、東京で仕事をしていた時期がありまして。いま振り返ると、めちゃくちゃ忙しくて、余裕がなくなってたところもあったんだと思います。

モーニングコールする側が大寝坊

 ある時は始発で大阪から東京へ行って、1日なんやかんや仕事させてもらって、夜中12時から深夜2時まで撮影。そこから朝4時まで稽古して、始発の新幹線で大阪に帰るっていうスケジュールの日があって。牧くんに「大阪に帰って次の仕事まで2時間くらい寝られるけど、起きられなかったら怖いから寝ないでおこうかな」って相談したら、「寝てください。僕が責任を持ってモーニングコールします!」って言ってくれたんです。

撮影/平松市聖 ©文藝春秋

――頼りになりますね。

ゆりやん 私もありがたいなと思って、「ありがとうございます。お願いします」って言って、自分でも目覚まし時計をかけて寝たんですけど、結局、牧くんからはなんの連絡もなかったんです。まぁ、疲れてるやろうからしょうがないなと思いながら起きて現場へ行ったら、仕事が始まるくらいに牧くんからLINEが来ていて。《本当に申し訳ありません。今、起きてしまいました。もう二度と起こすなんて言いません》って書いてあったんです。「二度と寝坊しませんじゃなくて、そっちかよ!」って思っちゃって(笑)。

――側から見れば面白いなと思えるエピソードですけど、当事者だとイラっとしてしまう気持ちも理解できます。

ゆりやん 眠れないと、人ってイライラしてしまいますからね。そういうスケジュールが続いたある時、牧くんの上司の方が私のスケジュールを見て、牧くんに「ゆりやん、寝る時間ないやん。女性は体も大事にせなあかんで」って注意してくれたんですって。そうしたら、牧くんが急に震え出して「ゆりやんさんも……ゆりやんさんも人間だ!……ゆりやんさんは物じゃない!」って大きい声で叫んだらしくて。