昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

《芸歴36年》内村光良はなぜ「大御所」にならないのか「現場で関わる様々なスタッフの『名前』を覚えて呼ぶ」「現場をひょっこり見にくる後輩も…」

『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』より#1

2021/09/07

 5年連続で「理想の上司」ランキング1位に輝いたのはウッチャンナンチャンの内村光良氏である。コントから司会まで幅広く活躍する内村氏が率いるチームは、いつも“いいもの”を生み出すと評判が高く、業界内での信頼はとても厚い。

 クリエイティブディレクター・畑中翔太氏も、内村氏と仕事をともにする中で、そのリーダーとしての「背中」に魅せられた1人である。同氏による『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)より一部抜粋して、内村氏のリーダーシップの秘密を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

◆◆◆

「緊張」をさせない  

 内村のことを知る多くの関係者が証言していることだが、内村は周囲に「緊張をさせない人」である。そして、この緊張をさせないというマネジメント法は、「パフォー マンスを発揮させる」チームづくりにおける、“はじめの一歩”であると筆者は考える。

「大御所」という存在になってしまうと、(本人の意思は別として)周囲が気軽には話しか けづらい空気を持つもの。しかし内村は、そういった緊張感を一切まとっていない。だから後輩やスタッフでも気さくに内村に話しかけられるし、こちらが過敏に顔色をうかがう必要がない。これは内村がつくり出している声を掛けやすい「空気感」によるものだといえるだろう。

©iStock.com

「例えばエレベーターでたまたま一緒に乗りあわせても、気を遣ったりしなくていい。 次のエレベーターに乗ったほうがいいかな、と遠慮しなくてもいい。それどころか“元気ですか?”としゃべりかけてしまえるんです」(ケイマックス・飯山直樹氏)

 内村の持つ独特の空気感について、多くの関係者が同様の証言をしている。

 また日本テレビ『スクール革命!』の演出を務める黒川高氏は、収録の合間にあったあるエピソードを教えてくれた。いつものように内村含め出演者が、出番前に控室にいたところ、お笑い芸人のガンバレルーヤの2人が急にひょこっと顔を出した。当日2人に『スクール革命!』の出演予定はなく、たまたま別番組の収録で同局を訪れていた2人が控室の扉に貼られた『スクール革命!』の文字に気づき、「あ、内村お父さんいるかも」と顔を出したのだという。

「大先輩の現場をひょっこり見にくるなんて、普通はないです。普通はありえないことですよ(笑)。でも2人は“内村さんに会えるかも”と思ってフラッと来ちゃうんです。内村さんはそういう、受け入れてくれそうな空気があるんですよね」

 この「緊張をさせない」空気づくりは、内村が自然と実践している「パフォーマンスを発揮するチーム」の根幹となっている要素だ。

 チーム運営において、緊張がマイナスに作用すると、「委縮」や「忖度」を引き起こしてしまう。