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 世の中的には、生物学的に女で、自分自身も女であることに疑いがなく、フリルやスカートといったフェミニンなファッションが好き、というパターンが“女性”のステレオタイプだろう(男性のステレオタイプももちろんある)。

 しかし実際には、ペス山さんのように男性的な見た目を好むノンバイナリーの人もいれば、性自認も表現したい性も日によって違う、という人もいる。

 また、自分の性器をどう使うかという究極にパーソナルな部分を「世間」に委ねるのはおかしな話であると、ペス山さんの答えで気がついた。私のクエスチョンこそ、「普通」や「ステレオタイプ」から生まれているものに他ならない。

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 ペス山さんは自分の女性器を使うオナニーについて、「性自認がどうあれ、女性器を使っちゃだめなんて決まり…ないんだよ…」と書いていた。

©ペス山ポピー(小学館)

性的マイノリティ同士でもわからない部分はある

「私は普段ゲイコミュニティの中で生活していますが、性的マイノリティ同士だって、わからない部分はいっぱいあるし、傷つけあうことはしょっちゅうです。

 けも美という、戸籍上は男だけどフェミニンな幼馴染がいるんですが、その子に『お前は腕力だけは男だからいいよな』と言ってしまったことがあります。言った瞬間、傷つけたことがわかって、5秒で謝りました。逆に私も、アメンホテプというゲイの友人から『あんたそろそろ女になれば』と言われて怒ったこともあります。無理解はマイノリティのコミュニティ内でもある。

 でも、トランスに関してわからないことがあるから知りたい、とかだったらうれしいし、私も説明したい。そこに変なたくらみや意地悪さがなければ全然、いいんです」

 労を厭わずご自身の説明をしてくれる姿勢が印象的だったペス山さん。「相手のことを知りたい」というリスペクトの気持ちが、どんな性のあり方に対しても必要なスタンスではないだろうか。

  続く#3では、『女(じぶん)の体をゆるすまで』の1〜4話を特別公開する。

女の体をゆるすまで (上) (ビッグコミックス)

ペス山 ポピー

小学館

2021年7月30日 発売