Q 片方で肖像を消し、片方で「再調査」発言…タリバンにとって中村哲氏はどんな存在?
アフガニスタンで暫定政権の樹立を宣言した、イスラム主義勢力タリバンの報道担当者が、2019年に起きたNGO「ペシャワール会」の中村哲医師の殺害事件について、タリバンの関与を否定した上で「犯人逮捕に向けて再調査する」と語ったことが報じられていました。
一方で、タリバンが首都カブールを抑えたこの8月以降、カブールにあった中村氏の肖像をあしらった壁画が、タリバンの指示で白く塗りつぶされたことも報じられています。片方では肖像を塗りつぶさせ、もう片方では「再調査」を宣言する……。タリバンにとって中村氏は一体、どういう存在なのでしょうか。(40代・男性・会社員)
A なぜ肖像画を塗りつぶしたのかというと…
タリバンにとっても、中村さんはアフガニスタンの人々のために貢献してくれた素晴らしい人です。中村さんが何者かに撃たれた際は、タリバンが直ちに「我々がやったのではない」と否定の声明を出したくらいです。
その一方で、イスラム教は偶像崇拝を禁止しています。預言者ムハンマドは、メッカにあった神殿に入った際、そこにあった多数の神の像などを破壊したと伝えられているからです。
ただし、人の顔を壁に描くのは、果たして「偶像崇拝」になるかどうかは、イスラム教の宗派や解釈によって異なります。タリバンは、極めて極端な解釈をしているので、どんな素晴らしい人でも顔の壁画を描いてはいけないと判断して、中村さんの顔を塗りつぶしたようです。
私たちにとっては、とても悲しいニュースでしたが、だからといって、タリバンが中村さんを憎んでいるわけではないのです。
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