男性はこれまで、某政党の選挙の手伝いを何度も経験していたという。しかし、その政党の候補者に相談しても、ここまでの対応はしてくれなかった。男性は選挙のときだけこきつかわれて、使い捨てにされた、と感じたそうだ。
「でも、宮瀬さんに会って、ようやく本物の政治家がいるんだと思いました。私は愛知県民だから宮瀬さんに投票はできないけど、某政党でビラ配りをした経験はあります。だから今日はせめてものお手伝いということでビラ配りをさせてもらっています」
人命救助に選挙区の縛りはない。そんな宮瀬は今回の選挙で3万1201票を獲得。定数5に10人が立候補した中、2位で3期目の当選を果たした。
票を捨てる有権者よりもゴミを拾う候補者のほうが好きだ
今回の東京都議会議員選挙を取材して感じたことがある。それは「ゴミ拾い」をする候補者や陣営がどんどん増えていることだ。
もちろんこのことを「選挙目当ての点数稼ぎだ」と批判する人もいる。しかし、私は票を捨てる有権者よりもゴミを拾う候補者のほうが好きだ。
ゴミ拾いをする候補者は、宮瀬の他にも、葛飾区選挙区から立候補した後藤輝樹(SDGs党)、渋谷区選挙区から立候補した込山洋(無所属・スマイル党推薦)、新宿区選挙区から立候補した木下陽介(全都黎明)などがいた。また、候補者本人が街頭演説をしている間、支援者がその場所のゴミ拾いをする陣営もあった。マイクの大きな音で迷惑をかけた分、地域に貢献しようという姿勢がうかがえた。今後はどの陣営でもゴミ拾いが当たり前のことになってほしい。
今回、私が名前を挙げた候補者たちは、選挙だからゴミを拾っているわけではない。選挙に関係なく、何年も前からゴミ拾いをしてきたことを私は知っている。
後藤輝樹は今回、ナスの着ぐるみを着ていたが、選挙中も誰も見ていない河川敷でゴミ拾いをしていた。着ぐるみで「ふざけた候補」と思われがちだが、確実に社会貢献をしている。
私が「なぜゴミ拾いをするのか」と後藤に聞くと、こんな答えが返ってきた。
「自分の部屋にゴミが落ちていたら嫌じゃないですか。それと同じ感覚です。自分がいる空間はきれいなほうがいい。だからゴミ拾いをしています」
込山洋も5年以上、継続的にゴミ拾いをしている。木下陽介も2年以上、新宿区内でゴミ拾いをしてきた。いずれも選挙があるからではない。自分が生きる意味を考えた末、「地域のために役立ちたい」という感情からゴミ拾いをスタートしている。