「大学にも行かずに就職して音楽活動? なんで?」
——高校卒業してからは大学に進学しなかったんですよね。
DOTAMA そうですね。その時は大学に進学して勉強するより、働きながら音楽をやる方が時間があるかなあと思っていました。でも実際働き出してみると全然甘くなかったです(笑)。高校を卒業してからは、地元のホームセンターに就職して10年勤めました。働きながら音楽を作る、歌うという生活を10年間していましたね。とても貴重な経験でした。仕事が楽しかったのと、その頃は若かったし、曖昧なこのままでも良いのかなあと。
両親は「大学にも行かずに就職して音楽活動? なんで?」「ヒップホップって何?」という感じで、両親の望む生き方を出来なかったのもあり、最初は理解を求めるのは難しかったです。今では応援してくれてますね。
——10年間も音楽を続けながら働いていたわけですよね。
DOTAMA 朝8時ぐらいに出社して、19時過ぎに退社して、その後クラブに行って、オールナイトのイベントでライブして、家に帰って少し仮眠して、また出社するというルーティンでした。ちょっぴり大変でしたね。職場は接客業なので、土日も仕事でしたし。
——寝る時間は1、2時間ですよね。大変な生活ですね。
DOTAMA おかげでタフにはなったと思います。もちろんもっと大変な方もいると思いますが。会社には迷惑かけっぱなしでしたね。ただ、生活が不規則でも、なるべくしっかりやろうと思ってはいました。
東日本大震災で自分も将来を見つめ直す時間が増え…
——スーツに眼鏡というスタイルはそのサラリーマン生活からきているのでしょうか?
DOTAMA ヒップホップというのは、人生のリアルを歌う音楽文化だと自分は思うので、じゃあ自分の生活のリアルは何かと考えた時に、人生の大半を占めていた“働く”ということなんじゃないかなと思って。
脱サラして9年経ちますが、その時の人生観、ヒップホップへのマインドは常に持っていようと思って。今もスーツを着てステージに上がらせてもらってます。
——脱サラしたきっかけってなんでしょうか?
DOTAMA 僕が26歳の時に、東日本大震災があったんです。生活が激変した方が多くいらっしゃる中で、自分も将来を見つめ直す時間が増えました。このまま勤めながら、いい意味でサイドとして音楽をやっていくのか、それとも音楽一本でやるかを考えるきっかけになって。
仕事は充実してましたし、ありがたいことにいろんな経験をさせてもらえて、業務の幅も増えていった。会社での自分のやるべき事も増えて、その中で音楽を並行してやるのは大丈夫なのかなと思ってしまって。
——音楽一本で挑戦してみたいと。
DOTAMA そうですね。勤めさせてもらった会社は大好きだし、働きながら音楽をやるのも大変だったけど、すごく楽しかったんです。ただ、挑戦してそのリアルを音楽に落とし込んでいこうとそのとき思いました。