「ガンプラを仕入れに行くぞ!」の一声で“軽自動車1台分”の金額を投資
金野社長は早速、ガンプラを取り扱うメーカーに連絡を入れた。最初は自動車販売店がガンプラを売ることに躊躇していたが、金野社長の粘り強い交渉のおかげで、2ヶ月後に仙台にあるプラモデルの卸問屋を紹介してくれた。
「ガンプラを仕入れに行くぞ!」
金野社長の言葉に、従業員たちは飛び上がって喜んだ。筋金入りのガンプラ好きを中心に社員の半分以上を引き連れて、仙台の卸問屋に一緒に向かった。
倉庫にうず高く積み上げられたガンプラを見て、従業員たちは子供のように目をキラキラとさせた。お気に入りのプラモデルを手に取り、夢中になってダンボールの箱にガンプラを詰め込んでいった。仕入れたガンプラの数は100箱を優に超えた。
「中古の軽自動車を1台仕入れられるぐらいの金額になりました。でも、これで従業員が元気になってくれるなら、結果オーライでした」
金野社長は、同行した社員たちに、欲しいガンプラがあれば、ひとつだけプレゼントすると言った。その話を聞いて喜んだ一人が、「それぞれ家に持ち帰ってガンプラを作って、明日、会社で見せ合おう」と提案してきた。
次の日、社員たちは丹精込めて作り上げたガンプラを手に出社してきた。仕事そっちのけでガンプラの話で盛り上がっていたが、金野社長は元気を取り戻した従業員たちの姿を見られたことが、なにより嬉しかった。
売り場の名称は「サイド7」…イベントごとに制作体験教室も開催
仕入れたガンプラは、最初、山形市内の店舗で売られていた。しかし、鶴岡市内の店舗が移転リニューアルすることになり、ほとんどのガンプラを新しいお店に移動させた。
新店舗は敷地面積が広いこともあって、ラジコンのサーキット場を併設、輸入雑貨の販売も始めた。山形の店舗ではガンプラがポツンと店内で売られていたので違和感があったが、お店全体が趣味の雑貨で賑やかになったこともあって、ガンプラの販売も自然に店内に馴染んでしっくりくるようになった。
新しい売場がリニューアルした店舗の看板になると思った金野社長は、売場の名称をガンダムに登場するコロニーから「サイド7」と名付けた。同時に今まで力をいれていなかったSNSをスタートさせて、ラジコンやガンプラの情報を積極的に発信することにした。