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「親がするべき“しつけ”は?」「子どもをどのように怒ればいい?」4人の子どもを東大理3に合格させた佐藤ママの“教育方法”

『勉強する子になる100の習慣』より#2

2021/10/12

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, 教育, 社会, 読書

note

7.夢を見ながら、とりあえず勉強を

Q.中学生(高校生)の子どもが非現実的な夢(野球選手やミュージシャン)を持っています。

 

A.かっこよく頑張りたいと思うのは、まさに青春。きちんと考えてあげましょう。

 本当に、この年頃の子ってこのようなことを言いがちですよね。実際、有名な野球選手やミュージシャンが活躍しているのをテレビなどで見るとあのようにかっこよく頑張りたいと思うのは、まさに青春です。野球選手とミュージシャンは、それぞれは別物ですから分けて考えましょう。

(1)プロの野球選手

 多くの場合、小学生のころからジュニアで活躍して甲子園での強豪校に入学。そこの野球部のレギュラーのメンバーになる必要があります。上位15人くらいには入らないと希望はもてません。それで、ドラフト会議で選んでもらいプロへ。そのプロに入っても活躍するのは難しいのです。活躍できても、せいぜい40歳までしかできないので世間の働き盛りの年齢で引退しないといけないわけです。

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 これは、一流の選手の話ですよ。引退後も野球で仕事ができる人は少ないし多くの人は違う職業につくことになります。六大学で活躍する道もあるが、プロになるのは高校野球から入った選手より4年遅いので選手生命は短いわけです。ふ~、考えれば考えるほど狭き門ですね。子どもたちは、その頂点を極めた選手しか知らないから夢を見てしまうのです。

(2)売れているミュージシャン

 この方が、もっとやっかいかも。野球はずば抜けた才能があれば、必ず誰かが見つけてくれる機会がありますが、ミュージシャンは才能があっても「運」がないと食べていけるほどには活躍できないですよね。苦節何年と聞きますが、その間の苦労は想像を絶するものでしょうね。人生のどこかで世に出られたらまだいいのですが、その確率は非常に低いのです。芸術分野で生きていく人は、「自分が一番!」と思い込める人でないとやっていけないという厳しい世界です。

 要するに、人間は食べていくのが一番大変なので、誰かに食べさせてもらいながら自分だけが「夢を追う」のは卑怯な考え方です。地味な仕事でも人の役に立ちながら額に汗して生活費を稼ぐことは非常に尊いことを忘れないように。やるべきことは自分のできることを増やすために学校に行ってどの分野にも応用が利く学力をつけるということでしょうか。

 中には、スポーツや芸術で成功する人も実際にいますから断言はできませんが、常に夢破れることを念頭にうかべ、どちらに転んでもいいようにはする必要があるでしょう。そんな中途半端な考えでは一流にはなれないと言う考えもあるでしょうが、親をはじめ周りの人たちに迷惑をかけることは大いにあることは忘れずに。どちらにしても、つぶしのきく最低限の学力は必要でしょうね。「夢を見ながらとりあえず勉強しなさい」と子どもに話しておいてください。