池袋や高田馬場、新大久保など在日中国人が多い地域に町中華ならぬ「ガチ中華」が食べられるお店が増えている。ガチ中華とは日本人向けにアレンジされていない、まるで中国にいるかのような気分を味わえる中国人向けの中華料理のことだ。
特に池袋ではここ数年で四川火鍋や麻辣燙(マーラータン)などのガチ中華を楽しめるお店が30店舗以上オープンしている。今年6月にはそんなガチ中華を日本人向けに紹介する書籍『攻略!東京ディープチャイナ』(産学社)も出版され、発売後すぐさま重版になるなど日本人のファンも急増中だ。
そんなガチ中華の中でも昨年からにわかに注目を集めているのが「中華フードコート」である。その名の通り、中華のお店だけからなるフードコートで、四川料理や上海料理、東北料理など中国各地のご当地料理を味わうことができる。
中国の都市部のショッピングモールや地下鉄の駅ナカにあるフードコートをそのまま日本に持ってきたような現地感あふれるつくりになっており、最近ではコロナ禍の日本でも気軽に海外旅行気分を味わえるスポットとして、在日中国人だけでなく日本人の間でも人気を集めている。
池袋には3つの中華フードコートが
2019年11月に池袋北口の雑居ビルの4階にオープンした「友誼食府(ゆうぎしょくふ)」を皮切りに、2021年6月には同ビルの2階に「食府書苑(しょくふしょえん)」、9月には同ビルから徒歩3分の場所に「沸騰小吃城(ふっとうシャオチーチェン)」と、現在池袋には3つの中華フードコートが存在している。東京の元祖中華フードコートである友誼食府は、池袋で最大規模を誇る中華物産店「友誼商店」に併設する形でオープンした。
友誼商店の店長・李さんによれば、元々同スペースに入っていた火鍋屋の閉店後、在日中国人が物産店での買い物ついでに休憩できる場所を提供できれば、とフードコートをオープンさせたという。
中国版Instagramとして中国人の若者の間で人気のSNS「RED(小红书)」をのぞいてみると東京に住む多くの在日中国人がガチ中華の写真とともに「中国に帰らなくても故郷の味が食べられる!」と投稿しているのがみつかる。
本来は在日中国人の憩いの場としてオープンした中華フードコートであったが、コロナ禍以降、ネット記事で取り上げられたことをきっかけに、海外旅行ロスの日本人や中華アイドルファン、中華アニメファンの間でもじわりと噂が広まり、今では週末になると日本人の比率のほうが高いこともめずらしくない。