「重大事態」により保護者は調査委の設置を申し立て
いじめ防対法によると、いじめによって「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」がある場合は、「重大事態」とされている。Aくんが再び不登校になったことで、保護者は調査委の設置を申し立てた。
川口市には「いじめを防止するためのまちづくり推進条例」があり、常設の組織として、各学校に「対策委」を設置している。対策委では、必要に応じて、心理や福祉の専門家、弁護士、医師など外部の専門家も参加する。その上で、学校での調査が困難な場合、市教委が「市いじめ問題調査審議会」、つまり、防対法でいう「調査委」で対応することになっている。
ところが、対策委も調査委も動こうとしなかった。
「(新たな)4月のいじめの件について、学校も市教委も知っています。調査委の設置の連絡がなかったので、8月になって、市教委に問い合わせをしました。すると、学校が設置主体となったというのです。ならば、学校から説明がないのはおかしいとの話でした。学校に問い合わせをすると、主幹教諭は『知らない』ということでした。しかし、教頭に確認しても、返事が曖昧でした」(保護者)
いじめが終わっているとは言えない状態
学校側は、Aくんのいじめ被害を認めている。一旦は、加害者側がAくんに謝罪をした。そのため、一応の“解決をみた”ことになっている。しかし、Aくんは再び不登校になった。文科省では「いじめの解決」について、2017年3月、「いじめの防止等のための基本的方針」の改定で、いじめが止んでいる状態が「3か月が目安」とした。Aくんのケースでは、いじめが終わっているとは言えない状態だ。
「Aくんの件については、学校はいじめを認知していました。通常のいじめ対応はしていたと聞いています。しかし、調査をすると、確認できたことは学校の管理外での出来事で、目撃者もいませんでした。学校として何をしたらよいかという相談が市教委にありました」(市教委)