【3】東京国際大はやっぱり「駅伝力」が凄かった
今回優勝した東京国際大学は、青山学院大学や駒澤大学のように5000m13分台が目白押し!のような派手なトピックスがありませんでした。それゆえ、スーパー留学生のイエゴン・ヴィンセント選手頼みのチームだとみんなが勝手に思っていた節がありました。
東京国際大学が優勝するとしたら、最終走者のヴィンセントが全てをひっくり返すパターン。それを見越して他校は6区までにどれだけ貯金を作れるかが勝利の鍵だとみんなが思っていました。前日会見では各大学の監督に「アンカーのヴィンセント選手までにどのくらいのタイム差がほしいか?」と聞いていたし、東京国際大学の大志田秀次監督も「45秒以内の差なら我々にも(優勝が)見えてくる」と言っていた。他の選手の話があまり出なくて、今考えると本当に失礼な話です(笑)。
ところが蓋を開けてみたら、東京国際大学はヴィンセント以外の選手たちも着々と「駅伝力」をつけていた。本当は全ての区間でマークすべきだったのに、好きに走らせてしまいました。彼らが自信を深めたのもこの夏の東京オリンピック。日本代表として10000mに出場した東京国際大OBの伊藤達彦選手の活躍です。いまの練習を信じていけば伊藤先輩のように成長ができる。彼らが監督やコーチのメニューを心から信じて取り組んだことで、チーム全体の力が底上げされ、トップでアンカーのヴィンセント選手に襷をつなぎ、勝利を確実なものにしたように思えます。
生放送でも一番のポイントは、3区の時点でコメントを求められた青山学院大学の原晋監督がレース途中にも関わらず「(優勝は)東京国際大でしょう」って言っちゃったところでしょう(笑)。
出雲駅伝初出場・初優勝で沸く東京国際大学の輪から、そっと話しかけてきたコーチが「西本さん、全日本は彼に注目しておいてください」と連れてきたのが堀畑佳吾選手。
出雲は誰を出してもいいくらい、チームが仕上がっていて、監督も前日夜まで誰をどこに走らせるか迷ってたそうですから。全日本では彼の走りにも期待しておきましょう。