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学業に力を入れている人は「リアリティ・ショック」が少ない

 さらに、同調査では、どのようなタイプの新入社員が、リアリティ・ショックが高くなってしまうのかについても検討しています。その結果、入社前に「将来やりたいことが決まっていること」との関係が示されています。リアリティ・ショックの高低で分けると、大学3年の冬の時点で、リアリティ・ショックが低い群の6割は、将来のやりたいことが決まっている一方、リアリティ・ショックが高い群は3割を下回っていたのです。

 そして、学生時代に早期に「将来やりたいこと」が決まっている学生(以下、決定層)は、決まっていなかった学生(以下、未決定層)と比較すると、学業に力を入れていることもわかりました。

「学生時代で時間をかけていた活動」という調査項目において、「大学で授業や実験に参加する」という質問でYesと回答した人は、決定層では79.7%に対して、未決定層では66.7%でした。また、「授業に関する勉強(予習や復習、宿題・課題など)」では、決定層で60.3%、未決定層で45.6%、「勉強のための本(新書や専門書など)を読む」では、決定層で48.3%、未決定層で37.8%でした。加えて、「授業とは関係のない勉強を自主的にする」という質問でも、決定層で49.1%、未決定層で31.8%という差がありました。(※上記データ、いずれも1%水準で有意差あり)

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「やりたいこと決定層」は学業、「未決定層」は趣味・クラブ・アルバイト

 さらに興味深いことに、同調査では「学生時代で最も重点を置いていたこと」(まさに、これは「ガクチカ[編集部注:学生時代に力を入れたこと]」です)を単一回答で答えさせているのですが、決定層と未決定層では、まさに対照的な結果となりました。

 決定層が選んだものは、「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」でしたが、未決定層が重視していたのは、「アルバイト」「クラブ」「趣味」でした。そして、選ばなかったものは逆転し、決定層は「アルバイト」「クラブ」「趣味」で、未決定層は「資格取得」「勉強」「豊かな人間関係」でした。

 この結果を、これまでの我々の調査や考察と合わせてみると理屈がつながるように思えます。つまり、学業に力を入れている学生は、将来やりたいことを入社前に早期に決定していて、その結果リアリティ・ショックが少なく、離職もしにくくなる傾向がある。逆に、あまり学業に力を入れずに、自分のやりたい趣味やクラブ、アルバイトに注力している学生はなかなか将来やりたいことが決まらずに、就職後にリアリティ・ショックを受ける可能性が高く、そして離職をしやすくなる可能性があるということです。

 これまで採用面接での「ガクチカ」質問で、クラブやアルバイトのことばかり聞いてきた採用担当者にとっては、意外な結果ではないでしょうか。

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