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「好きになれること」自体は高評価できる

 ここまで、クラブやアルバイトに力を入れている人の「傾向」について、調査にもとづいて述べてきました。簡単にいえば「決してプラスとはいえない」という、長年採用面接を行ってきた筆者(曽和)にとっても驚きの結果ではありましたが、なぜこのようなことになったのかについて、ここからは考察してみたいと思います。

 そもそも、クラブやアルバイトはどのように始めるものでしょうか。大学生になったら、全員がやらなくてはならない義務でしょうか。当然そうではありません。これらは学生が自発的に好きで行ったことです。嫌ならやらなくてもよいことです。

 もちろん、そういう「やらなくてもよいこと」を自発的に始めること自体は大変素晴らしい行動であり、それを高く評価する企業も多いでしょう。クラブやアルバイトを頑張っている人が悪いなどということは決してありません。ここはくれぐれも誤解のないように強調しておきます。

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 このように好きなことを頑張れるということはまったく悪くありません。さまざまなことの中から特定の対象を「好きだ」と感じてコミットできることは才能ですし、それを高いレベルで追究できることは素晴らしいことです。近年では、自分の好きな領域に熱中してのめり込んで、深い専門性を身につけることができる、いわゆる「オタク気質」を高く評価する企業はとても増えています。ですので、繰り返しますが「物事を深く好きになることができること」「熱中できること」「没頭できること」自体に関しては高く評価されるでしょう。

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問題は、好きなこと「しか」頑張れないこと

 ただ、好きなことであれば、それをモチベーション高く頑張ることができるというのは当然のことともいえます。極端な例ですが、採用面接の際に、「私はディズニーランドが好きで、年間パスポートを持っていて、毎週のように通っているので、年間数十回も行っています」と聞いたところで(実際にそういう自己アピールをしてくる人は存在します)、面接官は「それはすごい継続力だなあ」などとは思いません。ただ単に、「この人はとてもディズニーランドが好きなのだなあ」と思うだけで、採用上の評価に組み込むことはないでしょう(むしろ、すごいのはその人ではなく、その人を年に数十回も呼び寄せるディズニーランドです)。

 ですから、好きになれること自体は評価されても、好きなことを頑張ることができることはそれほど評価されない場合が多いのです。むしろ、評価に関係してくるのは、好きでもないこと、義務でやらねばならないこと、やりたくもないのに巻き込まれてしまったことで、どのぐらい頑張ることができるかどうかです。なぜなら仕事で高い業績を出せる人は、このような「好きでもないこと」においてでも頑張れる人だからです。