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作家としての自分は定義できない

――山岳地帯で暮らす兵士たちの生活や訓練の様子はどこまで実際のリサーチに基づくものなのでしょうか。それとも、架空のものとして独自に考えたのでしょうか。

アレハンドロ・ランデス 兵士たちの訓練方法は一見ユニークですが、どれも実際の訓練に基づいています。反乱軍やゲリラ軍がどういうユニフォームを着てどういう訓練をするのか、また戦場で人質にとられた人たちの証言を読み、その待遇や状況について調べました。たとえばジャングルのなかで体に塗料を塗り裸足で歩いていく様子は、ベトコンの兵士たちの戦争術を参考にしました。

©Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine

 演じる役者たちにも入念な準備をお願いしました。今回兵士を演じた役者のほとんどが非職業俳優ですが、製作が始まる前から数週間、同じ場所で共同生活をしてもらいました。全員が2段ベッドで寝て朝は一緒に起きる。一緒にシャワーを浴び、訓練兵がするような訓練をする。こうした生活をお願いしたのは、独特の親密さをつくりだすためでした。戦争で共同生活をした人たちの間に生まれるあの家族のような親密さは、他の環境のなかではなかなかつくれないものです。そういう準備を数週間行ったあと、さらに山頂でも数ヶ月間生活をしてもらい、そこでの生活に慣れたあと実際の撮影へと入りました。その結果、少年少女たちのなかにあの独特の雰囲気が生まれたのです。

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©Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine

――映画を見ていて、まるでファンタジーのような幻想的な映像に魅せられました。監督は、自分の映像スタイルについてはどのように考えていらっしゃいましたか。

アレハンドロ・ランデス 映像を設計する際には、俳優たちの演技をリアリスティックに捉えた映像と、非常にスタイリッシュな映像とを、バランスをとりながら対比させるよう意識しました。音の設計についても同じです。フレームの中で聞こえる自然音と様式化された効果音とを組み合わせ、どっちがどっちかわからないように融合しています。そうすることで、リアルであると同時にファンタジックで寓話的な要素をもった映画にしたかった。