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街のそば屋にラーメンがあるのはなぜ? 知られざる「中華麺をそばつゆで」の世界

2021/10/26
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東京近郊で「もり中華」を

 さて、最後(トリ)は足立区宮城にある「砂場」の「かもせいろ(中華麺)」である。舎人ライナー「足立小台」あるいは都電荒川線「小台」から歩いて約20分はかかる。

舎人ライナー「足立小台」駅に降り立つ。秋空が広い
歩いて20分以上はかかるなかなかの立地である

 結論からいうとここの旨さは驚愕のレベル、大衆そば屋の頂点といってもいい存在だ。そばの達人から「はよ行け」と促されていたのだが、今回ようやく訪問することができた。「砂場」は創業70年というから恐れ入る。元気な女将さんと寡黙で恰幅のいい大将、そして大女将の3人で切り盛りしている。

 朝は6時から営業開始。緊急事態宣言などの時短要請がない限り、酒も朝から飲める。入店すると壁一面にメニューが貼り尽くされている。そば・うどん・中華麺すべて自家製麺。温かいそばうどんの部、冷たいそばうどんの部、ご飯の部、中華麺等の部、定食の部などと区分けして掲載されている。中には「焼肉そば」なんていうメニューもある。

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ご飯の部、中華麺等の部、温かいそばうどんの部
冷たいそばうどんの部
定食の部と並ぶ

 そしてその中につけめん・せいろメニューの区分けがあり、「せいろそば」、「かもせいろ」、「カレーせいろ」などが並ぶ。そば・うどん・中華麺でもOKと書かれている。さっそく、「かもせいろ(中華麺)」(650円)を注文した。

つけめん・せいろメニューに「かもせいろ」発見

 待つこと数分。登場したせいろには自家製の中華麺がどっさりと盛り付けられている。かも汁はすごい量で返しは濃いめで、その中に鴨肉がゴロゴロ入っていて、火の通り具合が絶妙である。つゆをひとくち。かも肉のあぶらの香りと十分に利いたかつお出汁が融合した、実に奥深い味である。