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「チアドラは私の人生そのもの!」夢を諦めなかった元チアドラゴンズリーダーの物語

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/08
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“良きライバル”との出会い

 高校を卒業して入った中京大学では、ある出会いがありました。同級生に、チアドラとして活躍した後、現在はドラゴンズでグッズ担当として活躍中の“なっちゃん”こと荒井なつりがいたのです。私たちは入学してすぐに友達になりました。

 その年の冬、チアドラ2014のオーディションの会場に私となっちゃんがいました。二度目の挑戦だった私は基礎審査を通過するもダンス審査で不合格。初挑戦のなっちゃんは見事に合格しチアドラのメンバーに。たしかになっちゃんのダンスは抜群に上手くて、会場で見ても「ああ、勝てないな」と思ったものです。その後の大学生活3年間、私たちは顔を合わせれば挨拶や会話はするものの、お互いにどこか気まずい日々を過ごしました。なっちゃんは何も悪くないのに、私が勝手に嫉妬していたのです。

 今では大の仲良しのなっちゃんですが、実は私がチアドラ卒業後にタレントという道を選んだのは、グッズ担当として新しい世界でも活躍するなっちゃんを見て「負けられない!」と思っていることも理由の一つなんです。職業は違ってもドラゴンズに関わる者同士として、なっちゃんは良きライバルであり、ずっと憧れの存在です。

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 人生の転機になったのは、2015年の冬。チアドラキッズの発表会限定選抜ユニット「スペシャルガールズ」に選ばれたことでした。二度のチアドラ不合格で完全に心が折れていましたが、このときのステージで浴びた歓声が私の心を奮い立たせてくれたのです。名前を呼んで応援してもらうことが、すごく力になることを知りました。チアドラの振り付けを担当されている内絵梨香先生とこの時に出会えたことも大きかったです。

 2015年と2016年はフットサルリーグのプロチーム、名古屋オーシャンズのチア「チアオーシャンズ」を経験します。このときから、ただ大勢のお客さんの前で踊るだけではなく、「私たちもチームの一員として会場を盛り上げるんだ!」という意識に変わりました。具体的には、お客様と目と目を合わせて踊るように心がけていました。

 ナゴヤドームでもグラウンドからお客様の顔はすごくよく見えています。ただ笑顔で踊っているのではなく、お客様に直接笑いかけていたんですよ。「チアドラが自分のほうを見てる!」とお客様が思うのは錯覚ではないんです。

 

人生を賭けたオーディション

 2016年12月11日、「人生最後」と決めていたチアドラ2017のオーディションを受験しました。チアドラになるために何が必要なのか自分なりに考え、行動した2年間。それでも受からないのなら、私には縁のない職業だったんだろうと思うことにしていたからです。

 負けたままで終わるのは絶対に嫌。今しかできないことを、今やるしかない。就職活動もしないで、チアドラになることだけを考えていました。私にとって人生を賭けたオーディションだったのです。

 結果は――合格。過去2回に比べて、さまざまな経験を通してダンサーとしても人としても成長できたからうまくいったのだと思います。

 チアドラになって、自分もドラゴンズの一員になった気分になりました。ドラゴンズが勝てば嬉しいし、負ければ悔しくて仕方ありません。ドラゴンズ愛はチアドラを引退した今でも増す一方です。

 チアドラとしては、ドラゴンズとファンのみなさんとの“架け橋”であることを大切にしてきました。内先生から言われた「この日の試合が人生でたった1試合の野球観戦という人もいる」ことを胸に刻み、試合に勝っても負けても、球場に来てくれたお客様が「楽しかったな」と思ってもらえるように全力で踊り続けました。

 試合の流れが悪いときは私たちのパフォーマンスでお客様にパワーを与えたかったし、そのパワーで元気になったお客様には選手に更に声援を送ってより大きいパワーを与えてほしいと思っていました。私たちの力でこの嫌な空気を変えられるんじゃないか、と思っていたこともありましたね。

 チアドラへの挑戦を通して、とてもたくさんのことを学びました。努力の大切さ、夢を諦めないこと、挑戦し続けること……。たった3年ですが、私にとってチアドラは人生そのものだと間違いなく言い切れます。

 もっとチアドラのことをみなさんに知ってもらいたい! もっともっとみんなでドラゴンズを応援したい! 今はそんな気持ちでいっぱいです。チアドラになってからのこと(楽しかったことも苦労したことも盛りだくさん!)は、またいずれ書く機会がいただければお伝えしたいと思います!

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