ド迫力の大腿部
馬場さんが脚を組んだときの大腿部のぶっとさを見ると、これが人間の脚か、と思わず後ずさりしたくなるほどのド迫力だ。
それもトレーニング後、あるいは試合後に見る両脚の大腿部は、太い幹と言うより生き物のようだ。太い血管が浮きあがり、蛇がトグロを巻いて、息づいている感じなのだ。したたり落ちる汗が、全身の筋肉の躍動感を際立たせてくれる。
みなさんは、身近でプロ競輪選手の脚を見たことがあるだろうか。大腿部とふくらはぎの盛り上がりと張りは、尋常ではない。鍛え抜かれた筋肉はあくまで太い。
しかし、ジャイアント馬場の大腿部と競輪選手の脚を比較するのは少々無理がある。209センチという肉体の差に由来するスケールの違いは歴然だ。
私は長い付き合いのなかで痛恨のミスを犯している。ジャイアント馬場を正確に身体計測したデータを持っていないことだ。
はっきりしているのは絶頂期の最高体重が145キロということだけだ。身長2メートル9センチは、あくまで推定である。
規格外のデッカい兄貴
プロ野球で怪我をし、左肘の手術をしていることから、プロレスラーとしては腕が細い。ある時、両腕の太さを測りたい、とお願いしたら、「余計な企てするなよ!」と極端にイヤな顔をされたことがあった。
そんな経緯があって、馬場さんの両腕、両脚、大腿部などのサイズを測るチャンスを逸したのだ。
ジャイアント馬場の最強の敵であった“生傷男”ディック・ザ・ブルーザーの上腕部の太さを測ったことはある。46センチだったから、若い女性のウェスト・サイズぐらいだろうか。
馬場さんの大腿部の周囲を計測した記録を見聞した記憶はない。関係者は「88センチぐらいはあったんじゃないか」と話していたが、いずれにしても85センチ以上はあっただろう。
なぜ、ジャイアント馬場の身体の大きさ、大腿の凄さにこだわるかというと、こういう規格外のプロレスラーがいたことを若い世代に伝えたいからだ。
昭和生まれ、平成生まれ、世代によって、ジャイアント馬場のイメージは違う。晩年の「アポーウ」のキャラではなく、絶頂期の“東洋の巨人”の凄さとありのままの姿を語るのが私の役目だろうと思う。