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《日本各地の理想と現実》都市→地方、地方→都市…「移住を希望する」両者へのアンケートで明らかになった“生活に対する不満”のリアル

『大下流国家』より #2

2021/11/04
note

 地方の移住希望者のストレスは、親あるいは配偶者の親との関係が多く、地方独特の古い家族観がストレスになっていると言える。

東京圏で働く彼女たちの不満とは

 東京圏の移住希望女性が持つ仕事上や能力発揮への不満とは何だろうか。

 具体的にどういう不満を抱えているのかはわからないが、たとえば東京圏で働く彼女たちの不満には、こんなものもあるかもしれないと想像する。

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・シェアビジネスを始めたいが、今勤めている企業はあくまで物をたくさん作って売ることだけが使命であり、シェアでは儲からないと上司に言われる。
・化学メーカーに勤めており、自分としては自然派の洗剤を作りたいが、あくまで合成洗剤しか作れない(実際にこういう経験をした女性がその後アメリカに留学し、今は日本でまちづくりなどの仕事をして大活躍している例がある)。
・今問題になっているマイクロプラスチックをなくしたいが、現在勤めている企業では対応が難しい。個人的には木や陶磁器の製品が好きなので、そうした分野に進めないか悩んでいる。
・不動産企業で再開発事業をしているが、古い家や店を壊さずにリノベーションして使い続ける仕事がしたいと悩んでいる。
・フェアトレードに関心があるが、今勤めている企業は低開発国から買いたたくことで利益を得ているのが悩ましい。

 つまり、東京の最先端で働いている女性だからこそ、環境やシェアリングなどについても最先端の情報を得ており、それらの問題を解決する仕事をしたいが、現在の職場では遅々として進まない、という悩みかもしれないのである。東京圏の移住希望女性で高学歴・正規雇用・高収入の人が多いことからも、その仮説はある程度想定される。

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