移住したい地方在住女性はジェンダー的な問題に不満が多い
次に、移住を考えている女性の地域差(居住地による差)を見てみる。
まず東京圏(1都3県)と関西圏(大阪・京都・兵庫)と地方(東京圏・関西圏以外)に分けて集計し、東京圏と地方を比較してみる。
すると地方で多いのは「地域のつきあいがわずらわしい」という地方らしい問題、「男性の家事や育児の時間が短い」「LGBT」「女性が政治や経営のトップに少ない」といったジェンダー的な問題などが上位を占める。
なお、地方なのに「教育にお金がかかりすぎる」が1位なのは、地方では所得が低いのに塾などにかかるお金が増えているからであろう。
個人的なことを言えば、1970年代に中学・高校・大学を受験した私の時代、新潟県の上越市という地方中規模都市には塾は1つしか存在しなかった。塾に行くのは例外的だったのだ。今は中学時代から塾に行くのは当然らしい。もしかすると中学受験のために塾に行く子どももいるだろう。
東京圏から移住したい女性は現代社会に疑問を持っている
逆に地方が東京圏より少ない項目は何か。「有給休暇やリモートワークなどによって時間と空間を自由に使う暮らしがしたい」という、働き方に関する項目が1位となった。
「農業もしながら暮らしたい」「貧しくても心の豊かさがある社会にすべきだ」「地方の自然やゆったりした生活を維持するべきだ」「日本の伝統的な職人文化を再評価するべきだ」といった、都会にはない豊かさ・ゆとりあるいは伝統文化を地方に求める意見も多い。
「日本の社会に閉塞感(出口が見えない感じ)がある」「今の時代には空虚感(むなしさ)がある」「個人が夢や希望を持てなくなった」という項目も、東京圏の女性のほうが多い。
総じて都会生活に疲れている、もっと言うと近代主義的・競争主義的な価値観・生活に疲れている、あるいは疑問を持っている女性が地方への移住を考えているようである。