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疫病に立ち向かう人々への思いを表現

 2005年から始めた奈良キャンペーンは、平城京遷都1300年を迎える2010年の前年に「うまし うるわし 奈良」キャンペーンとなった。リニア中央新幹線に向けた下心はさておき、東京から奈良へ観光するためなら東海道新幹線で京都経由になる。奈良キャンペーンは東海道新幹線にとっても有効だ。

 2021年の「うまし うるわし 奈良」は、薬師寺をメインテーマに掲げた。「ことし 奈良、薬師寺」キャンペーンサイトも立ち上げた。動画ではひとり旅の女性が「はじめて人のために祈った」と語り、疫病に立ち向かう人々への思いを表現している。もちろん薬師寺も全面的に協力し「世界遺産 薬師寺×ドクターイエロー 特別御朱印」を作った。この特別御朱印は、「ジェイアール東海ツアーズ」のツアー「秋の夜間特別拝観~宵の法話と献灯体験」の参加者に授与される。または、JR東海の「EX旅のコンテンツポータル」で「薬師寺内白鳳伽藍の拝観と世界遺産薬師寺×ドクターイエロー特別御朱印の授与」プランに含まれる。

「かき氷新幹線」を秋に「ずらし」て提供する

「EX 旅のコンテンツポータル」は、「エクスプレス予約(EX予約)」と「スマートEX」の会員向けに11月からはじまる新サービスだ。どちらかと言えば出張族御用達の「EX割引」で、観光利用促進の取り組みがはじまる。その核となるエリアのひとつが奈良だ。

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ホテル日航奈良の「かき氷新幹線ドクターイエロー」と「かき氷新幹線N700S」。ホテル日航奈良 ロビーラウンジ「ファウンテン」で提供、各1,430円

 奈良駅前のホテル日航奈良では、人気の「エスプーマかき氷」をアレンジして「かき氷新幹線」を提供する。ドクターイエローをイメージした黄色と、最新型車両「N700S」をイメージした白と青。中身に「鉄分」が含まれるアプリコットを仕込んだ。提供は10月から11月まで。いまではかき氷も通年提供する店が増えているけれど、やっぱり夏の食べ物の代表。それを秋に「ずらし」て提供する。

 こうした取り組みは、16年間の取り組みで築いた信頼関係があってこそだ。今までの積み重ねの上にリニア中央新幹線がやってきて、奈良の人々とJR東海の連携が成就する。

「うまし、うるわし」、「ずらし」て「推し」に会えて嬉し? 次の「○○し」はなんだろう。

写真=杉山淳一(境内は特別許可を得て撮影)