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不当な社会に怒り、闘いを挑む若い世代

「私たちが『政権による弾圧は非常に大きなものだった』ということを身をもって知っている世代だとすれば、彼らは『ブラジルというのはこんなにも問題がたくさんあるんだ』ということを、いつも肌で感じている世代だと思います。

 彼らはそうした問題に、非常に大きな怒りを感じていて『こんな歴史は変えていかなくちゃいけない』という強い信念を持っています。その力はどこから来るんだろうと私たちが驚くほどに、彼らは強いエネルギーを持っているんです。

 人種差別も男尊女卑も、それから貧困、LGBT+の問題も全部『こんな問題はあってはいけない』と彼らは言います。しかし残念ながら、歴史は今私たちが知っている通り、複雑なものなんです」

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日本の“若い心”をもっている人に観て欲しい

――改めて、この作品を読者に紹介していただけますか?

「この作品は、ある世代の高校生についての記録です。彼ら彼女らは2015年に公教育の質の向上を求めて、学校を占拠するという運動を行いました。そして同時にこの作品はブラジルで最近あった1つの政治的な時期を描き出したものです」

――この作品をどのような人たちに観て欲しいと思われますか?

「日本の若い人には、特に観ていただきたいですね! 私は山形のドキュメンタリー映画祭で地元の高校生の取材を受けたことがあるのですが、若い彼らがとても深い質問をしてくれたことが印象に残っているんです。そのとき『日本ではドキュメンタリー作品や映画という存在が、他国と比べても“特別なもの”なのだろう』と感じました。

 この映画の原題は『あなたの反抗を待っている』という意味なんです。世界に対してどう抵抗するのか、反抗していくのか、ということ……この映画を観て、若い人たちの中に、何かインスピレーションが生まれてくれるといいと思います。彼ら自身が闘うヒントになればいいな、と。

 

 それから、年齢が若い人だけでなく、“若い心”を持っている人たちにも観てもらえたら嬉しいです。“若い心”というのは『世界を変えていこう』と考える心。より平等でより良い、もっと教育や文化に関心を払う世界に変えていこうじゃないか……そういう“若い心”をもっている人に観ていただければ、と思います」

INFORMATION

『これは君の闘争だ』
11月6日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督、脚本:エリザ・カパイ
ナレーション:ルーカス・“コカ”・ペンチアド、マルセラ・ジェズス、ナヤラ・スーザ 
配給:太秦
<2019年/93分/ブラジル/ドキュメンタリー>
公式HP www.toso-brazil.jp 

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