この瞬間、松本・太田の「国交断絶」は依然として継続中であることをボクは理解した。 一方、この日のトークは思いの外盛り上がり終始笑い声が絶えなかった。コーナーも終盤を迎え、もし爆笑問題の2人もたけし軍団に入っていたらという話になると、田中裕二は「俺は野球が好きだから軍団で重宝されて幅を利かせてたと思う」と語り、太田は「俺は博士とはもしかしたら本の話とかで結構気が合ったかもしれない」と吐露した。
これに対してボクも、「俺はいろいろと譲ったかもしれないね。太田くん、こういうのやりなよとか」と返した。
共演NGが嘘だったかのように、ビートたけし愛の下で、彼らとの長い確執がやっと終わったと思っていたら......。
番組終了間際、田中裕二の追い出しの締め言葉と、ボクと太田のガヤガヤ声と、コーナーエンドのジングルの喧騒に被せるように玉袋が確信的に「今日はいいオマン○できた気がするな!」と、生放送で最後っ屁をぶっ放ち、遺恨は振り出しへと戻った。
薄皮一枚を残してのスリリングな芸
そして、2014年3月31日――。
『笑っていいとも グランドフィナーレ』で、石橋貴明の意図的なラフプレーによって、とんねるずとダウンタウン、さらには松本と太田の奇跡の共演が実現した。
現場に居合わせた千原ジュニアは、「CM中に松本さんが太田さんに『ありがとな』と声をかけたんですよ。初めてですよ、そんなん見たの」と証言。
松村邦洋は「太田さんがCM中に『いろいろどうもすみません』って言った後、松本さんが『おぉ、おーおーおー』って太田さんの肩のあたりをポンポンと叩いたんですね。なんかいい雰囲気でした」と両者はそれぞれにラジオで語った。
確かに、両者は雪解けに向かっていたのだ。
冒頭の『ワイドナショー』の一件は放送後、ネットニュースでも報じられ、瞬く間に世間の注目を集めた。
しかしながら「シメる」=「松本のパワハラ」という曲解したネットの書き込みは、当事者としては不本意であり完全に誤解である。
お笑い界の固いヒエラルキーを崩すガチンコ発言は、薄皮一枚を残してのスリリングな芸である。