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「社会的な要因によって起こる病気といっても過言ではない」医師が警鐘を鳴らす“男性更年期障害”の知られざる真実《チェックリスト付き》

『LOH症候群』より #1

2021/11/10
note

LOH症候群とは

 女性の更年期は閉経の前後5年以内と定義されています。期間に個人差はありますが、いずれにせよ更年期障害は10年以内の一過性のできごとです。また程度の差はあるものの、すべての女性が通過する症状です。一方、男性更年期障害はすべての男性に起こるわけではない「病気」なのです。女性と違って時期が一定せず、30代で起こることもあれば80代で起こることもあります。症状が現れる期間も長く、じっと待っているだけでは治らないことも多いのです。

 テストステロンが減る原因は、がんや糖尿病、肝臓病などの病気もありますが、最も多いのはストレスです。過労、人間関係、退職による社会からの隔離などが引き金になります。男性の更年期障害は「社会的な要因によって起こる」といっても過言ではないと私は考えています。

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 テストステロンの分泌量が生まれつき低い、あるいはテストステロンの受容体の不具合からテストステロンが働かずに、一次性徴(性分化)や二次性徴(思春期)がはっきりしない状態になることがあります。後天的な病気やケガで精巣を失ったことでテストステロンが低くなることもあります。そのような状態を性腺機能低下症、または性腺機能不全と呼びます。

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 それに対して、成人になるまではテストステロンが問題なく分泌されていながら、中高年になって急激にテストステロンが下がってくる状態を加齢に伴う性腺機能低下症(LateOnset Hypogonadism)、その頭文字を取って「LOH(ロー)症候群」と呼ぶようになりました。