更年期障害といえば、ホルモンバランスが乱れることによって起こる「女性特有の症状」という印象が強い。しかし、泌尿器科医として日本初の「メンズヘルス外来」を立ち上げ、日本の男性医学をリードする医師、堀江重郎氏によると、男性にも更年期障害にあたる症状が起こり得るという。

 ここでは、同氏の著書『LOH症候群』(角川新書)より一部を抜粋。男性更年期障害がもたらす症状をチェックリストともに紹介する。(全2回の1回目/後編を読む

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男性の更年期障害は「病気」

 更年期障害とは性ホルモンの低下によって心身に不調が起こった状態です。

 かつて更年期障害は女性特有のものと思われていました。女性は閉経すると女性ホルモン(エストロゲン)が大幅に減り、これが自律神経に影響を与えることでさまざまな症状が出てきます。女性にとって更年期障害は身近な問題であるため、多くの女性に更年期の知識があり、対処法もよく知られています。

 すべての女性は月経(生理)がいずれ終わりますから、女性の更年期はすべての女性に起こる、いわば「遺伝子にコードされた」生命現象と呼べるでしょう。実はチンパンジーやオランウータンのメスは閉経すると死んでしまいます。つまり、子どもをつくらない時代がないのです。ヒトの女性が閉経するのは、進化した人類では孫世代を育てることも重要な人生の役割になっていることを意味します。

 よく知られているように、更年期になると、顔がほてる、急に汗が出る、イライラする、といった症状が出るようになります。こういう症状は男性でも見られることから、20世紀の末に男性にも更年期障害があることがわかってきました。

 男性の更年期障害も、原因は女性と同じで性ホルモン(テストステロン)の低下です。ところが、すべての人が閉経して更年期を迎える女性と異なり、男性は更年期になる人とならない人がいます。もちろん加齢によってテストステロンは減っていくのですが、女性の閉経のように急激に減ることはありません。