老父を介護していて、ここ半年ぐらい厳しい状態になっているのが「いつもの親父の飲み薬が手に入らなくなった」ことであります。

 投票を面倒くさがる親父や親族を無理矢理車に乗せて期日前投票に連れていく道すがら、実家の最寄り駅前では石原伸晃さんが街頭演説で「自民党の功績はコロナに打ち勝ち、医療崩壊を防いだこと」って力説してたわけなんですが。

 薬が届かないんですよね、親父の。

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国民が力を合わせてコロナ第5波を脱したのは事実

 私自身、いま「次世代基盤政策研究所」という民間のシンクタンクに所属して、メディアや大手総研からの下請けで社会保障関連の政策なども見させていただいておりますが、確かに安倍晋三政権から菅義偉政権では政治家、官僚、都道府県などの自治体、医療従事者の皆さんに物事を理解してコロナ対策に協力した国民が力を合わせてコロナ第5波を脱した、これは間違いありません。みんな、ほんとよく頑張ったよね。

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 最初、ガースーが「1日100万回ワクチン接種だ」とブチ上げたとき、この人ついに狂ったかと思った関係者やマスコミ人は多かったと思います。なんでこんな冴えないおっさんが総理大臣なんだと。しかし、この菅義偉さんの、ある種無謀だと思うような執念が国民へのワクチン接種拡大を促し、効果のあるワクチンが行き渡ったお陰で諸外国に比べても少ない死亡者で済んだという一例からも、マスクを嫌がらず、法的根拠のないお願いでも感染症じゃしょうがないかと多くの国民がコロナ対策に協力したのは誇りでもあります。

ここ半年以上の課題であるもうひとつの医療危機

 その裏で、もうひとつの医療危機が、今回の薬事崩壊であります。社会保障関連ではここ半年以上、この薬が届かないよね問題については喫緊の課題と位置付けられてきました。薬不足に直面して、医療機関・医師の皆さんも困惑しているでしょうし、問題の矢面に立たされた薬局や薬剤師の皆さんが途方に暮れたり怒ったりしているのを目の当たりにすると「そうだよなあ……」と同情することしきりです。医師や歯科医師、薬剤師がどう頑張っても解決する筋合いの問題じゃありませんのでね。

 現在、出荷調整されている薬剤・薬品は、各社合計で3,200品目あまりと見られます(2021年10月31日現在)。中には本来、疥癬(ダニ)による肌の炎症の治療薬であるイベルメクチンが「コロナウイルスに効く」と微妙な与太話が流れた結果、本来の用途以外で求める患者が医院に殺到してしまい、イベルメクチンが見事品薄になるという事例もありました。