――ラジオを続けてきて、プラスになった点、気づいた点などありますか?
渡辺 ラジオをやり始めて、改めて本当にこの人はよく喋るなと思いましたね。いい意味で、ですけど。喋りたいこといっぱいあるんだな、この人って(笑)。
長谷川 隆の日常で起きた出来事をラジオで聞いて、それをテレビで話せるのはいいかなと思いますね。普段から日常の話ってほとんどしないんで、それをできるのがラジオなんですよ。「この間、仕事でこの人と会った」とか、「病院に検査しに行った」とか、そういう話を聞いて、初めてプライベートがわかるんです。それをテレビに出演した時に「この間、隆から聞いたんですけど」と話せるので。
中年リスナーに刺さる「長谷川の老い」
――この番組全体を通じて、トークの中心になっているのは長谷川さんの老いだと思います。中年リスナーからすると、生々しく感じる部分があって。面白さもあり、共感もあり、自分がこれからこうなっていくんじゃないかという恐怖もあるんです。
長谷川 いいんですかね、それ?(笑)。まあ、注意喚起ということで。
渡辺 反面教師として聴いてもらえれば。
――番組を聴いて、僕は急に入れ歯がリアリティーを持ってきて、歯のケアに時間を割くようになりました。
渡辺 僕も聴いてて怖いんですよね。
長谷川 確かにそれをリアルタイムで生々しく話す人もいないでしょうしね。言い間違いや言葉が出ないことは、まあ、多いと思うんですよ。ただ、これは僕の歳がいっているからじゃなくて、もともとそういうタイプの人間なんです。
渡辺 今に始まった話じゃないんです。
長谷川 昔から言葉を知らないんで。例えば、「7回転んで、8回起きることってなんだっけ?」って出てこないんです。
渡辺 そのまんまだよ(笑)。
――聴いていると、長谷川さんがボケているのか、老いから来ているのか、もともとそうだったのか、わからないんですよね。そこが面白いところだなって。
渡辺 この人は真実を伝えようとしているんですけど。
長谷川 確かにそれは問題があって、僕がたまに後輩相手にボケるんですよ。例えば、その後輩と初めて一緒にラーメン屋に行った時に、僕がボケで「いやあ、お前とラーメン屋に来るのも久しぶりだなあ」と言って、「いやいや、初めてだよ」ってツッコミを待っている。だけど、後輩が「いやいや、初めてですよ。大丈夫ですか?」と、笑いのボケじゃなくて、本当にボケたと思って、心配をされることがあるんですよね(笑)。
――番組内でも、九九で「ににんがし」を間違えて「ににんがに」と言ったり、「概念」を「岩塩」と言ったり、毎回そういう言葉が出てきて、それだけで本が作れるんじゃないかと。
渡辺 本気で間違えてくれるから面白いんですよ。
(#2に続く)