1ページ目から読む
3/3ページ目

 

安価で手軽な処置が実情

鉄建OB 漏水を100%止めることは不可能です。出てきてしまったものは表面から見えないように、例えば建築の化粧壁の後ろに隠して処置をします。完全に止水するには、コンクリートに鉄板を張り船のように溶接をして風呂桶のようにしなければいけません。

杉山 水が出た、塞いで止める。という繰り返しですか。

ADVERTISEMENT

鉄建OB ある一ヵ所を止めても、水圧がかかると近くの弱点を狙って水は滲み出してきてしまいます。止めきれないものは、導水してある箇所に集め、ポンプで地上に排水します。駅で利用者に水がかかってしまっては大変ですし、電気設備や機械設備に水がかかれば、漏電事故や腐食による劣化の原因となります。トンネル内のレールも、同じところに水がかかっていれば地上のレールより腐食しやすいです。

杉山 水を止めるというより、排水口へ誘導する作業なんですね。

鉄建OB ビニルパイプなどが露出した駅もれ対策は、建設関係者としては恥ずかしい限りで、もう少し工夫して目立たないように措置をしてほしいところです。しかし、安価で手軽な処置を選ぶのが実情でしょうね。

(筆者撮影)

東京メトロに聞くと…

 東京メトロ広報部からは、直接の取材は難しいとのことだが、下記の回答をもらった。

「当社の駅施設における漏水によって、ご利用のお客様にご不便とご迷惑をおかけしていることについて、お詫び申し上げます。対策技術の見栄えをご鑑賞いただく温かいご反応は有難いものの、当社としてはご利用のお客様にご不便をおかけしているため、当事者としてお詫びするほかございません。

 なお、『駅もれ』のような漏水対策をしている小規模の漏水については、直ちに地下構造物の安全性に影響を与えるものではございません。一方で、流水量が多い漏水については、恒久対策を実施の上、安全性の向上に努めております。可能な限り、漏水が減らせるよう根本的な対策を検討・実施していき、引き続き万が一あった場合もすぐに対応してまいります」

 駅の構造上、切っても切れない「駅もれ」。これからも駅員さんに敬意を抱きつつ、楽しく拝見したいと思う。