文春オンライン

「大江戸線はビニールだけで何とかしている」「鹿威し風にデコっている」… 駅の水漏れ対策“駅もれ”の進化のナゾ

「駅もれ」の世界 #1

2021/11/19

genre : ライフ, 娯楽,

 駅で「水漏れ注意」という貼り紙を見かける。どこか配管が傷んでいるかもしれない。残念な景色だと思う。家で雨漏りすれば安普請の証拠。きっと駅員さんや鉄道会社にとっても恥ずかしいことだろう。だから私はなるべく見ないフリをする。

 ところが、先日訪れた地下鉄の有楽町駅の水漏れ対策は見過ごせなかった。規模が大きい。天井から透明なチューブがぶら下がり、柱に向かって降りていく。柱の下には青いバケツ。それがいくつもある。不謹慎ながら、その造形を美しいと思ってしまった。ファンタジー作品の「世界樹の根」ってこんな感じか。思わずスマホで撮った。

 この水漏れ写真を集めている人がいる。液漏れならぬ「駅もれ」と題したブログを2011年12月2日から運営している萩原幸也さんだ。いまでは同好の士も現れて投稿写真も多数。「駅もれ」になぜ注目したか、萩原さんにお話を伺った。(全2回の1回目。後編を読む)

ADVERTISEMENT

◆ ◆ ◆

きっかけは東京駅

杉山 「駅もれ」って、鉄道会社さんにとっては恥と言うか、面白がっちゃいけないような気がしてたんです。

有楽町線・有楽町駅の駅もれ(筆者撮影)

萩原 ましてや写真に撮るなんて(笑)。

杉山 2021年10月1日に出演された「タモリ倶楽部」を拝見しました。漏水を導いた先で「鹿威し(ししおどし)」を作っちゃうとか遊び心もある。ほかにもいろいろ創意工夫があるんだと思いました。最初に目に止まった駅はどこでしたか。