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今、ラジオ番組を引き受けた理由

『Sky presents 中村七之助のラジのすけ』は2021年春から放送を開始した。ラジオ番組を引き受けた理由を聞くと、七之助は「『ウラダン』をやって、貢献したかったんです」と説明した。『ウラダン』とは、歌舞伎の裏方をゲストに呼んで、仕事の内容やこれまで経験したエピソードや、歌舞伎への想いを語ってもらうコーナーだ。これまでには平成中村座大道具の棟梁や小道具、お茶子、床山、衣裳、歌舞伎の大道具の絵描きなどが登場した。

「これまで舞台が忙しくて、メディアに出てこなかった人たちに話を聞きたかったんです。僕たちの舞台は、色んな方々に支えていただくことで役を演じられて、拍手声援をいただくもの。それを忘れちゃダメだな、と。リスナーの皆さんも、裏方の仕事内容をちょっと深掘りして知りたいんじゃないかな。総合芸術であることを改めて感じてもらえるだろうし」

この日は大道具の志水良成さんを『ウラダン』ゲストに迎えていた

 この番組が始まったことで、七之助自身にも変化が訪れている。今秋、無事に行われた中村屋恒例の全国巡業の錦秋特別公演を回る間、番組の公式インスタグラムアカウントのために、各巡業先で撮影したプライベートショットを公開したのだ。中村屋はこれまでSNSをしない方針だったことも相まって、その投稿がファンの間で話題になり、フォロワー数が急増。インスタをきっかけにラジオを聴いたり、公演へと足を伸ばした人も多かったそうだ。

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 自身は既にインスタグラムフォロワー14万人を誇るヒロドが「もっとフォロワー数を増やしましょう」と楽しげにけしかけるのを、「そんな14万なんて攻撃能力の高い人に言われてもね(笑)。インスタ用にどんな写真を撮るかがプレッシャーで、ネタがなくてちょっと心を病むくらいですよ。うちの兄(勘九郎)にも、『お前からSNSなんて言葉が発せられるとは』って驚かれましてね」と七之助はボヤく。

【Instagram】錦秋特別公演中のオフショット
 

「僕はあまり外に出ないから困っちゃうんですよ。とうとうこの間は、巡業中、一緒にまわっていた三味線の先生をインスタのためだけに楽屋に呼んで、一節だけ弾いて撮影しました。稽古詐欺だよね(笑)」

 現在のところまではインスタに上げられた写真もラーメンだの遊園地だの夜のコンビナートだの、まだ「映え」に今後の伸びしろが期待される。しかし七之助にとってインスタ映えのために何を食べようか、どこへ出かけようかと考えるのは新鮮らしく、ヒロドに「インスタには、人を表に出す機能があるんですね」と笑われる始末。これもまた、七之助が歌舞伎界にもたらした“変化”のひとつなのかもしれない。