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2021/11/23

 このあたりの判断は難しい。二軍で打席に立たせた方がいいのか、それとも一軍でプレーのチャンスを与えた方がいいのか、球団としては判断が分かれてもおかしくない。

 ところが5年目に筒香はいきなりブレイクする。そのきっかけは、中畑清監督が筒香をサードから外野へコンバートしたことだった。“機会”を与えられた筒香は打率3割ちょうど、本塁打も22本にまで伸ばし、横浜を代表する選手になったのである。

 この育成パターンを見ると、いろいろなことを考える。他球団の育成をあれこれ評価するのは失礼だが、2年目までは出場機会を確保するため、ファームでじっくりと育成するのもアリなのかな、と思う。

3年目、4年目で一軍に定着できるような育成プランを作るのが重要

 やはり、難しいのは一軍のレギュラーに定着させるタイミングだ。筒香でさえも、4年目に回り道をしているように見える。ファームで2年目まではトントン拍子で成長していたので、球団としても、3年目は一軍でも同じような結果を期待したのだと思う。

 ところが、一軍は相手も研究してくるし、弱点があぶり出されて、課題が出てきた。期待通りの結果が残せなかったため、4年目の育て方にブレが出たのではないか。

 もしも、4年目のシーズンにどこかのポジションに定着していたら、それなりの結果を残したはずだ。一軍は結果が求められるので、このあたりの選手起用が難しい。

 筒香のケースを見ると、僕はしっかりと二軍で機会を与えてから昇格させた方がいろいろな意味でいいのではないかと考えている。

©文藝春秋

 村上の場合、将来はヤクルトの4番を打ってもらわなければならないから、2018年のように少しずつ一軍を経験しつつ、一軍と相談しながらレギュラーとして定着できるタイミングで送り出したい。そして僕としても、高卒のルーキーを、いい形で育てられる指針を自分でつかみたい。

 おそらく、近い将来にはどの球団もしっかりとしたプランに基づいた育成が根づいていくはずだ。それが指導者としての僕らの世代の役割だとも思っている。目安としては3年目、4年目で一軍に定着できるような育成プランを作るのが重要だ。

 他の球団の二軍監督が、「どうやって村上を育てたんだろう?」と調べてもらえるようにならないといけないと思う。

アメリカの育て方に学ぶ

 有望株をじっくりと育てていくという考え方は、僕がアメリカでプレーしていた時に学んだものでもある。

 アメリカでは球団の将来を背負って立つ人材を獲得したら、「プロテクト」といって、マイナーでじっくり育成する方法を採る。それもメジャーのすぐ下のトリプルAではなく、ダブルAでプレーさせることも珍しくない。

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