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 ちょうどバルコニー下にいたのでMAP(2)の位置と照らし合わせて頭上を確認してみると……。

あった! ©平松市聖/文藝春秋

 さっそく丸越マーク横にアンモナイトをひとつ見つけた。目視での発掘体験に嬉しくなり次々番号の振ってある場所を巡っていると、スタッフの方も折々で「こちらは見つけられましたか?」と見落としそうな床面付近やエスカレーターの裏など階をまたいで案内 を続けてくれた。

中央の白い流線型がベレムナイト ©平松市聖/文藝春秋

館内の化石の数は1万数千個

 MAPにはない化石も多いので尋ねてみると、実は館内には番号が振られている以上の化石があるという。その数およそ1万数千個。

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 昭和50年代に行われた筑波大学古生代研究室の調査によると、館内には約1万数千個の化石が眠っているとされているが、正確な記録が残っていないためスタッフですらその全容が掴めていないそうだ。私が見つけたアンモナイトのひとつも新発見だったらしく、その場で即座に写真を撮影し記録していた。

 薄々感じていたが、スタッフの方も私たちの熱中と同じくらいかそれ以上に真剣に化石を探している。こちらが動くより先に次の「発掘ポイント」に案内し、近い目線で探検してくれている。

 はっきり言って私たちは三越の顧客ではなく、ただ館内を見て喜んでいるだけの来館者に過ぎない。しかしそういった物見遊山の人間を含め、三越を訪れた全ての人々をもてなそうという心遣いを確かに感じた。

改めて訪れた日本橋三越本店

 そうした体験をTwitterでつぶやいたところ、取材の機会をいただき、あの時のスタッフの方が再び案内してくださる運びとなった。