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館内に1万数千個、1日に数個「新モナイト」も…日本橋三越本店で“本気のアンモナイト探し”をやってみた

2021/12/05
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目が肥えていく…フランスパン状のアンモナイトも

 それでも一旦探索を始めると加速度的に目が肥えていく。

フランスパン状のアンモナイト ©平松市聖/文藝春秋

 いかにもアンモナイト然とした渦巻き状の化石はもちろん、殻を側面から切り取ったフランスパン状のアンモナイトや、一見白い点でしかないべレムナイトの断面すら目ざとく見つけられるようになる。

中央の白い円がべレムナイトの断面。イカの軟骨めいた質感がある ©平松市聖/文藝春秋

 階段にもアンモナイトは潜んでおり、数億年前に深海にいた彼らが今地上で買い物客の足下に装飾として姿を晒していると思うと数奇なものだ。

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生きていた頃の色素が残っているという希少なアンモナイト。エビチリを思わせる ©平松市聖/文藝春秋

 アンモナイトの存在感を明確に装飾へ活かしたとおぼしき配置もみられる。

「ブックマッチ」と呼ばれる模様を左右対称に配置する手法 ©平松市聖/文藝春秋

 断面の構造を見比べてみると、同じ個体ではないためわざわざよく似た別個体を持ってきて並べたのではないかとのこと。竣工当時装飾を担当した職人の粋な遊び心が窺える。

日本橋三越本店内で最大級のアンモナイト ©平松市聖/文藝春秋