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館内に1万数千個、1日に数個「新モナイト」も…日本橋三越本店で“本気のアンモナイト探し”をやってみた

2021/12/05
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「新モナイト」などという私が勝手に考えた造語をスタッフ間でも使ってくださっているとのことで、気恥ずかしさが募る。

化石探検の起点となるMAP(1)アンモナイトが絵画のように額縁に囲われている ©平松市聖/文藝春秋

1日あたり1~2個は発見される「新モナイト」

 現在のような『化石探検MAP』を配布しての案内は今年8月から始まった形だ。 過去にも日本橋三越本店の歴史を学ぶツアーは開催されてきたが、子どもたちにも三越館内を楽しんでもらいたいとの思いから、より親しみやすいツアーが企画された。1日あたり1~2個は「新モナイト」が発見されるという。

「化石探検ツアー」に参加した子どもたちの「推し」には一カ月限定で、発見日を記した目印が貼られた ©平松市聖/文藝春秋

 ここで日本橋三越本店の化石事情をおさらいしておきたい。

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 日本橋三越本店の内装には国内外の多彩な石材がふんだんに使用されているが、この中で化石が含まれる石材はほぼ1種、イタリア産の石灰岩「ネンブロロザート」だ。

 主に吹き抜けのある本館1階中央ホールから地下1階の食品売り場へ向かう階段に使用されており、数億年前、ジュラ紀後期の地層から切り出された石材である。

日本橋三越本店で化石を探すときはネンブロロザートをたよりに ©平松市聖/文藝春秋

 また、本館地下1階へ通じる東京メトロ銀座線三越前駅の柱にも「ジュライエロー」と呼ばれる名前の通りジュラ紀の石灰岩が使用されており、こちらもアンモナイトや二枚貝の化石などが眠っている。

日本橋三越本店本館地下1階入口前のジュライエローの柱 ©エビコ

 改めて館内を案内してもらうも、前回見つけた化石のすべては記憶できておらず、記録の難しさを実感した。無数の化石すべてに印を付けておくわけにはいかないため、スタッフ間でも情報交換は活発に行われているという。発見した化石の写真と発見場所を引きの構図で撮影した写真とをワンセットで記録し、社内チャットで共有しているそうだ。