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「絶対治りません」と脅すケースも…まともな心療内科医になかなか出会えない問題

引越し後のメンタルクリニック探しに苦労している話

2021/12/01
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 かれこれ5年ほど精神疾患の治療をしているが、引越しのたびに、新しく通院するメンタルクリニックを探すのに一苦労している。

まともな病院の少なさ

 通院するのをやめた病院も合わせると、私はこれまでに6~7軒の精神科・心療内科を受診している。個人的には、病院選びの基準は「多少馬が合わなくても、コミュニケーションが普通に取れるのであればOK」くらいに思っていて、あまり多くは望んでいないつもりなのだけれど、それが案外難しい。

 10月に大阪から東京へ引っ越してきて、最初に訪れたメンタルクリニックはひどいものだった。大阪で長らく通院していた病院からもらった紹介状とお薬手帳を確認するなり、医師は第一声「ああ~、ダメダメ」から入り、続いて「こんな処方はめちゃくちゃなの。薬の数が多いってことは、薬が効いてないってこと。こんな処方、普通は絶対にしませんよ」と、次から次へと否定の言葉を吐き出した。

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 私は重度の不眠症で、かつ寝ている間に悪夢を見て暴れたり、叫んだりして飛び起きてしまうことがよくある。また、不定愁訴を抑えるためにこれまでさまざまな抗うつ剤や抗不安薬を試し、副作用が強いものや効果の弱いものは排除していき、現在飲んでいる薬に切り替えてようやく日常生活を送るまでに落ち着いている。

 そのため薬の調整は難しく、3年間かけて、大阪で通院していた病院の医師と効果を都度相談しながら、トライアンドエラーを重ねてたどり着いた「最適解」であったため、転院先の医師による「全部処方を変えますから!」の一言に、ひどく不安を覚えてしまった。

家族構成、家族の最終学歴…問診票に「家族の情報」記入欄が

 初めて訪れるメンタルクリニックでは通常、30分ほどかけて問診が行われる。この病院も例に漏れず、ある程度の時間をかけて初診を行い、治療方針を決定するのは他の病院と一緒のようだった。診察室に入る前に問診票を記入していると、「家族構成」の欄があり、名前、年齢、連絡先、職業だけでなく、最終学歴を記入する欄があったことに、少しだけ抵抗感を持ってしまう。

©️iStock.com

 私にとっては初めてのことだったが、メンタルクリニックに長年通っている知人によれば、家族の学歴を聞かれること自体はそうめずらしいことではないという。患者やその家庭の知的水準や環境をある程度把握しておきたい意向の病院では、最初に問診票で家族の情報を詳しく記入させるところもあるそうだ。

 私は実家での虐待やDVから逃れて絶縁しているため、家族の名前や連絡先欄は空欄で提出し、年齢は正確に記入、家族の最終学歴については「中卒」「高卒」といった風に、個人を特定しづらい情報のみを提供したところ、特にそれ以上突っ込んで聞かれることはなかったため、もし家族の情報を知られたくない場合は、空欄で出しても問題ないと思われる。