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定年後に何かすることを見つけたかった

 首都圏で教員として長年にわたり勤めてきて、定年退職後の老後の資金のために始めた60代の女性は、4月に50万円を支払うプランで副業を始めた。

「品物についておすすめ記事を書いて、リンクに貼ると広告収入があるという話でした。いきなり文章を書くのは難しいので、ネットの記事を紹介してくれて、すぐに1日に1万円ほどの収入があると聞かされました。

 素人でも付きっ切りでサポートしてもらえると考え、技術を身につければサポートがなくとも稼げると思った。でも、サポートは数回しかなく、ほとんど役に立ちませんでした。(定年後に)何かすることを見つけたかったのもあります。自宅でスマホの作業だけで稼げるというので、最初に投資をしても月に何万円か入れば回収できると思いました。何か始めるには投資が必要だろう、学習しなければ…という気持ちがあった」

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 ただ、今となっては、「浅はかだった。反省している」と後悔の念はぬぐえない。

詐欺容疑に問われる可能性も考えられる

※写真はイメージ ©iStock.com

 T-cloudを相手に訴訟を起こしている原告側代理人の中山雅雄弁護士は、「コロナ禍で経済的に困っている人からカネを取っているところがひどい」と批判。副業サイト関係で困っている人たちには、「警察が動くかどうか、事件化は別として、(T-cloudとwoodsについて)情報提供という意味でも警察にも相談してほしい」としている。

 T-cloudの代理人の弁護士に訴訟についての見解を求めたが、期日までに回答はなかった。

 woodsとT-cloudの双方に特徴的なのが「サポート」と称して副業を手助けするとしている点だ。しかし、多くの利用者は「まったく役に立たなかった」と証言している。そのシステムが「詐欺的だ」として訴訟へとつながっている。

 こうした点について、警察当局の捜査幹部は、「サポートの内容がまったく役に立たず、利用者たちが支払った費用に対する対価性がなければ、双方の会社は詐欺容疑に問われる可能性も考えられる」と指摘している。別の捜査幹部は、「AI(人工知能)を使って副業の成果を評価するとしているが、事件化となるには実際にAIを利用していないなどの実態が明らかになるかどうかがポイントになりそうだ」としている。