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生まれた後に「消える」女性
では残りの3分の1の女性はどう消えたのか?
彼女たちは出生前の選別を逃れ、生まれてくることができたにもかかわらず、何らかの性選別のために男性よりも死に至る可能性を高めたのだ。男児を好む文化のある地域では、男児は祝福されて育つが、女児は生まれた瞬間から失望の原因であり、後述するように将来の経済的負担でしかない。だから女児は無視され、忘れられ、雑に扱われる。意識されるにせよ、されないにせよ、こうしたネグレクトにより女児は男児よりも死にやすい。男児が好まれる地域においては、女児は母乳を与えられる期間が男児より短く、また食事も少なく与えられるというレポートもある。インドにおいては、5歳以下の女児の実に9人に1人は、こうしたネグレクトなどの出生後の性選別(postnatal sex selection)によって亡くなっているとされる。
こうした数字には、インド国内においても大きな地域差があることを留意しておきたい。インドでは男女の人口比が自然な値から離れている地域と出生後の性選別による女児の死亡数の高い地域はほぼ一致していて、いわゆるヒンディー・ベルトといわれるウッタル・プラデーシュ州、ビハール州、マッディヤ・プラデーシュ州、そして北西部ラジャスターン州でその傾向が強い。一方でケーララ州などの南部では、男女の人口比も先進国とほぼ変わらず、5歳以下の女児の死亡もそれほど多くはない。