「パパ活」を行う女性というと、若くて華やかな女性を連想するかもしれないが、年齢や容姿のみが人としての魅力に直結するわけではない。それだけに、若さを売りにしないパパ活女子も当然存在する。しかし、35歳を超えたパパ活女子の言葉に耳を傾けると、彼女たちらではの苦悩、そして社会情勢を含めた厳しい現実がみてとれた。

 ここでは、AV女優や風俗、介護などの現場でフィールドワークを行うノンフィクションライター、中村淳彦氏の著書『パパ活女子』(幻冬舎新書)の一部を抜粋し、「中年パパ活女子」たちの証言を紹介する。なぜ彼女たちはパパ活をせざるをえないのだろうか……。(全2回の2回目/前編を読む)

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中年パパ活女子たちの証言

 35歳を超えたパパ活女子は、どのような状況なのか。中年パパ活女子たちの証言を伝えていこう。

 全体的な傾向として、中年になると社会的地位が低く、収入が低めの男性から上から目線で肉体関係を誘われるようになる。そして、露骨な価格交渉(価値の低下)がされる。社会的地位や収入が高い男性たちが、工夫を凝らして低姿勢で誘ってくる20代女性とは反対の現象が起こってくる。

「男性からどんどん1.5とか2とか、高くても3とかいってくる。だいたい前提として、会ったことない人とセックスする約束なんて無理だって。それがいまの状況です。金額とか条件は相手によるし、条件は会って相手を見てから決めたい。知らない人と売春みたいなことをするなら、最低3以上は欲しい。でも、いきなり1.5で大人どうですかとか、そんなのばかり。会話にならない気持ち悪い男がたくさんです。そんな状況なので、パパ活を遊び半分でやろうって目論見は外れちゃってます。やっぱり友だちの紹介のほうがいいかも」(歯科衛生士、37歳)

 勤続15年のベテラン歯科衛生士で、年齢よりかなり若く見える美人女性だった。彼女は彼氏と別れたことから暇になり、休日にできる副業を探していた。同業の友だちの勧めでパパ活に足を踏み入れている。

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 彼女が想像していたパパ活は、「遊び感覚で魅力的な年上男性とデートして、好きな相手だったら肉体関係にもなって」というものだった。休日に労働をして時給を稼ぐのと男性と遊んで稼ぐのと、どちらのほうが楽しいか天秤にかけてのパパ活という選択だった。しかし、上から目線の売春行為の誘いが続々ときてウンザリといった状態だった。

 パパ活女子の一大勢力となっている医療従事者は、勤務時間帯や休日が不定期だ。それに勤務時間中に異性との出会いがない。彼女だけでなく、医療従事者は全般的にプライベートでも同業の同性と遊ぶことが多く、数年前からパパ活の話はそんな友人たちのなかから必ずでるという。コロナ禍で彼氏とうまくいかなくなって別れた。そこで、いつも一緒に遊んでいる看護師の親友からの強い勧めがあってパパ活をはじめている。彼女は売春的な行為は経験もあるし、行為自体に拒絶反応はないが、楽しい人間関係が築けないならばパパ活する意味がないと思っている。求めているような相手は現れそうにないのでパパ活はやめる予定である。