女性がデートの見返りにお金を援助してくれる男性を探す「パパ活」という言葉が社会に広まって久しい。しかし、かかるお金が決して安くないこともあり、実際にパパ活を行ったことのある男性は決して多くはないだろう。彼らはどのような人物で、どのような思いのもとパパ活を行っているのだろうか。
ここでは、ノンフィクションライターとしてAV女優や風俗、介護などの現場でフィールドワークを行い、執筆を続ける中村淳彦氏の著書『パパ活女子』(幻冬舎新書)の一部を抜粋。夫婦関係の破綻からパパ活を始めた男性が語る“パパ活”の目的について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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夫婦関係が破綻して「パパ」になった56歳男性
ユニバース俱楽部(編集部注:会員制の愛人マッチングサービス)では男性入会希望者にも、スタッフによる入会面談を義務化している。男性入会希望者は支店ではなく、シティホテルのティーラウンジで面談を行っていた。プラチナ会員である本橋宏さん(仮名、56歳)と池袋のホテルメトロポリタンで待ち合わせた。本橋さんはデニムにジャケット姿、カジュアルファッションをスマートに着こなす、上品でダンディな紳士だった。
会社経営者で創業10年目、業績は順調に伸び、コロナ禍でも売り上げは上向きらしい。4年前にユニバース俱楽部の会員となり、パパ活をはじめている。
「妻子はいます。妻は2歳年下、子どもは社会人です。でもね、僕は卒婚しているんですよ。結婚は卒業しました。妻とは籍だけはそのままで別々に暮らしています。生活を完全にわけてから、もう5年くらい経ちますね」
夫婦関係は完全に破綻しているようだ。本橋さんから妻に何度も離婚を切りだしたが、妻は絶対に頷くことはなかった。5年前に別居し、現在に至っている。妻に対して愛情や情はまったくないようで、本当にウンザリという表情で語っている。