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「泊まり勤務はしないで日勤だけという対応もしてくれるので、それを利用している人も多いですね。私はシングルマザーで、子どもをひとりで育てているのでこれはとてもありがたい。

 ダイヤが乱れた場合でも、早く上がれるように職場のみなさんが調整してくれるんです。それでもどうしてもお迎えに行けない場合には、職場の人たちが保育園の連絡先を知っていて連絡をしてくれることもあります」(矢田貝さん)

保育園の中にはICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」が!

「会社にもいろいろ支援してくれる制度もありますし、行政にもありますよね。そういったものって、書類も多いし制度も複雑でわかりにくい。

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 だから自分たちの経験を踏まえてわかりやすくまとめたマニュアルブックのようなものも作ったんです。妊娠がわかったときにまず誰に伝えればいいのか、からはじまって。おじさんたちも快く助けてくれますよ(笑)」(島崎さん)

 

「ベビーカーはたたまないとダメ、という風潮もありましたが…」

 出産・育児を経験したことで仕事に役立つこともあったという。

「ベビーカーを押しているお客さんの気持ちもわかりますしね。一時期、電車に乗るときにはベビーカーはたたまないとダメ、という風潮もありましたが、いまはみなさん普通に乗せるようになっています。

 車掌としてホームを見ていて、ベビーカーを推している方がいるとちょっと意識して気をつけたり。それは経験が生きているところだと思います」(島崎さん)

「体力的には大変ですけどね。ひとりのときは泊まり勤務が明けても寝て体力を回復すれば良かったけど、今は子どもがいるからそうもいかない(笑)」(青野さん)

「ただ、車掌をしていて良かったと思うこともありました。子どもって夜泣きをするじゃないですか。夜中の2時とか4時とか関係なく。それが大変、という話を聞いていましたが、車掌をしていたおかげでそういう時間に寝ないで起きているのがそれほど苦痛じゃなかった(笑)。車掌経験が育児に生きたな、と思いました」(矢田貝さん)

「誰のために車内放送してるんだろう」コロナ禍での“誰も乗っていない車両”

 子どもを育てながら車掌として乗務を続ける彼女たち。そんな彼女たちにとっても新型コロナウイルス禍の影響は小さくなかった。

「自分たちもいつ感染するかわからない。学校が休校になって子どもをおばあちゃんに預けていて、もし自分から移してしまったらどうしようとか、そういう思いもありました」(矢田貝さん)

「危険を冒してというと大げさかもしれませんが、いつどこで感染するかわからないという感覚はありました。

 ただ、それでも去年の春の緊急事態宣言のときにはお客さまが本当に少なくなっていて……。この電車1本なくしてもいいんじゃないか、なんて思うことも正直ありました。自分の目の前の車両には誰も乗っていなくて、車内放送をしていても誰のためなんだろう、って」(島崎さん)