昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/12/06

情報がないのは車掌も一緒「運転士さんとも連絡を取るんですが、『わからんなあ』と…」

 さらに、刻々と変わる状況の中で伝える情報も考えておく必要がある。

「情報を詰め込んで伝えすぎてもダメなんですよね。かえってわけがわからなくなってしまう。もっと情報をくれよという方もいると思うんですけど、できるだけ小出しに少しずつ分けて伝えていく方がいいんです。

 また、駅間に停まっているときに振替乗車の案内をしても意味がないですよね。だから動き出してひとまず次の駅に入る、というときにその放送をしたり。そういう工夫はしています」(島崎さん)

島崎さん

「電車が急に停まったとき、『すぐに状況を教えてほしい!』と思うだろうとわかってはいるのですが、実際は私たちもお客さまと同じ状態と言いますか。緊急停車の場合はまず指令がどこで何が起きているのかを調べて、それを全体に伝えてくれるんです。

 だからどうしてもタイムラグがある。運転士さんとも連絡を取るんですが、『わからんなあ』と……。その辺は仕方がないですね。長時間動かないだろうという場合にはトイレがどこにあるとか、そういったことを放送しています。車内で急病人が出てしまうことがいちばん大変なので」(青野さん)

「情報がないというのもひとつの情報でもあるんですよね。だから『状況がわかりしだいお伝えします』というのを繰り返したり。

 また、遅れてしまってから放送するだけではなくて、風とか雨が強くなりそうなので遅れるかもしれない、というケースでも事前に車内放送をしています。特に湖西線などは強風になるとストップすることがあるので、『本日は風が強くなる見込みなので運転を見合わせる場合があります』と早めに案内する。そうすればお客さまも行動の計画を立てられますから」(矢田貝さん)

不規則な車掌の仕事 家族との生活は…

 ダイヤが大幅に乱れるようなトラブルに遭遇すると、お客の立場だとどうしてもイライラしてしまうものだ。だが、そんな状況でも車掌たちは臨機応変に自らの判断で対応している。車掌とて、先の状況が見通せているわけではない中で、である。そう考えれば、少々イライラする気持ちも収まるような……。

 ちなみに、ダイヤが乱れればとうぜん車掌の勤務時間も大きく変わる。通常ならばとっくに退勤できるはずの時間になってもまだ動かぬ電車の中で……といったこともないとは言えない。

 今回取材に応じてくれた3人は、みな育休を経て復職した子育て中のいわば“ママさん車掌”。勤務が不規則、かつ異常時などで予定通り帰宅できないこともある車掌という仕事と家族の時間との両立はどうしているのだろうか。

 

「私の場合ですと、復職にあたって泊まり勤務があるということがネックだったんです。まだ子どもが8ヶ月のときに復職したので……。ただ、ちょうど悩んでいるときに企業内保育所ができたんです。鉄道会社の企業内保育所なので、24時間365日対応してくれる。ダイヤが乱れて予定通り帰れないときも対応してくれます。それは大きかったですね」(青野さん)

z