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「え、何? 今の匂い?」“お笑い芸人で納棺師”おくりびと青木が経験した「絶対に笑ってはいられない恐怖体験」

お笑い芸人”兼“納棺師” おくりびと青木インタビュー#2

note

「おやっさん」の棺に入れられた“好きだったもの”とは…?

 亡くなったのは「おやっさん」と呼ばれている方で、その方のご葬儀だったんです。そのおやっさんを棺の中に入れさせていただいたその後に「食べ物だったり、お洋服とか何かお好きだったものをお入れすることができますが、何かお入れしますか?」ってお聞きしたんです。

 すると、1人の方が「じゃあ、これを入れてやってくれよ」と出されてきたのが、刃渡り30センチのナイフ、いわゆる“ドス”だったんです。なるほど、こういうパターンかと。「すみません。そちらは燃え残ってしまう恐れがあるので、難しいんです」とお断りをしました。そうするとまた別の方が「いやいや、そんなんじゃダメだ。おやっさんにはやっぱこれがいいよ」と言って出されたのが“銃”。それが本物なのか、偽物なのか全く分からないですが、「申し訳ありません。それも燃え残ってしまう恐れがあるので、お入れすることができないんですよ」とお断りをさせていただいたんです。

 するとまた別の方がいらっしゃって「じゃあ、これならええやろ」と言って出されてきたのが、白いアタッシュケース。中身を見させていただくと、現金300万ほどが入っていました。「これはどのようにさせていただいたらよろしいですか?」と聞くと、「これを入れておやっさんを葬ってやってくれ」と。

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 本来、お金を入れることはいけないのですが、今回は特例として顔以外の部分に1枚1枚綺麗に入れて、お納めしました。お葬式の費用よりもそのお棺に入れた費用の方がかかってしまったんですよね。

「お笑い芸人」兼「納棺師」のおくりびと青木 ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

 やっぱり霊感とかそういうのも期待されるんですけど、私は全くもってないんですよね、霊感というのが(笑)。なので、霊的なものではなく、ご遺体やご遺族の話をさせていただくことが多いですね。