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葬儀業界にコロナが与えた影響

――近年の葬儀事情について伺いたいのですが、葬儀業界でもコロナの影響は受けているのでしょうか。

おくりびと青木 例えば家族や親戚はもちろん、ご近所の方を呼んでご葬儀を行うのが一般的だったんですけど、コロナの影響でなるべく参列者を少なくして葬儀を行っています。身内だけの家族葬をやりましょうということが結構多くなってきましたね。

 ただ、地方に住んでいる家族の方は、遠慮してもらったりすることもあります。例えばここは福島県なので、福島県にいる親戚、家族だけで式をあげましょうという、そういったご葬儀が非常に多くなってきましたね。今はだいぶコロナが収まってきたので、地方から来る方もいらっしゃいます。

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納棺師として勤務するおくりびと青木(提供:松竹芸能)

――おくりびと青木さんは、実際にコロナが原因で亡くなった方を担当されたことはあるのでしょうか。

おくりびと青木 今のところは担当したことないですね。この地域自体、コロナに罹っている方が本当にいなかったので。ただ、コロナのご遺体を担当した場合、職員は2週間ほど休まないといけないんですよね。うちみたいな家族でやっている葬儀会社は1人や2人抜けてしまうと人手不足になってしまうので、ご依頼があった際は、どのように対応するかは今後の課題かもしれません。

若者の自殺、老人の孤独死

――他にも様々な事情を抱えた故人の方もいらっしゃいますよね。

おくりびと青木 そうですね、以前は都内で納棺師の仕事をしていたんですけど、都内だと1日多くて3件か4件担当することがあったんですね。その3件から4件のうち3件が自殺だったということがありました。やはり自殺する方は若い方が多かったです。

 あとは故人様のなかには親族の方が遠方で来られないという方や、そもそも親戚や家族がいないという方もいらっしゃったりするんですね。そういった身寄りのないご老人が亡くなった場合は、この地域の役場職員の方と私たちスタッフが家族がわりとして見送ってあげることが増えてきました。

「お笑い芸人」兼「納棺師」のおくりびと青木 ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

――やはり老人の孤独死というのも増えているのでしょうか。

おくりびと青木 そうですね。発見する時も基本的に臭いで気付くというよりは、田舎だけあって普段から近所の方が連絡を取っているらしくて、「最近、全然顔見ないね」とか「連絡取れないね」というところから、家の中を覗いてみたら亡くなっていたというケースが最近多いみたいです。