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スタッフが勘違いして「このたびはご愁傷様です」

――衣装はどうされているんですか?

おくりびと青木 この喪服のまんまです。一応、お葬式芸人というのを売りにしているので、喪服で舞台に立っています。このまま高速バスに乗ったり、新幹線に乗ったり。葬儀後はお線香臭い状態で行くので、「え? なに今の匂い」みたいにお客さんに言われることもあります。

 この状態でオーディション会場に行ってスタッフさんとお話しするんですけど、「実はちょっとお葬式があったんですよ」って軽く話すと、スタッフの方が勘違いして「そうですか、このたびはご愁傷様です」って言われて。「いや、違う違う、僕の葬式じゃなくて」みたいな(笑)。パッと見ただけでは分からないのでそれはしょうがないんですけど、結構、勘違いされますよね。

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「お笑い芸人」兼「納棺師」のおくりびと青木 ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

納棺師の仕事で経験した「恐怖体験」は…

――納棺師のお仕事のなかで経験した恐怖体験はありますか。

おくりびと青木 私たちの仕事は基本的に葬儀会社の会場を使ったり、亡くなった方のご自宅を使わせていただくことが多いんです。ある時、ご依頼をいただいた場所が何故か都内のオフィスビルだったんですよね。珍しいこともあるんだなと思ってそちらに伺うと、奥の方からスキンヘッドとパンチパーマの方がいらっしゃったんですよ。「この度はよろしくお願いいたします」とご挨拶すると、「よろしくな」って握手をして下さったんですが、握手の感じが妙におかしいんですよ。これなんだろうなと思って、ぱっと手の方を見てみると指が何本かなかったんです。ガチガチのそっち系の方で…。ただ、そういった方たちって、お話も分かってくださいますし、とても優しいんですよね。