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2022年の論点

2021/12/25

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル,

「不法侵入」して1泊する者も

 逆に「予約なし」の招かれざる客に頭を抱えるのは、メイプルキャンプ場(北海道恵庭市)の大藤義賀社長だ。

「困るのは夜中に密かにゲートを潜って1泊し、翌朝、係員が料金を徴収する前に撤収する人たち。いわば不法侵入ですね。また今夏だけで、ランタンなどキャンプ用品の盗難が5件ほどあり、さらにテントの布地が20~30センチほど切り裂かれる事件もありました。ゲートには防犯カメラを設置しましたが、敷地全体に置くわけにもいかないですし……」

 ここまでくるとマナー以前に犯罪だ。

 キャンプ動画などで、焚き火に憧れてチャレンジする人も多いのだが――。

「焚き火後の灰を林にバラまいたり、チェックアウト間際まで焚き火をして、まだ燃えている炭をそのまま炭捨て場に捨てて帰る人もいて、下手をすると火事の危険もある。YouTubeなどでは、後始末までは撮っていないことが多いので、単に正しい処理の仕方を『知らない』のだと思います。受付の際の説明を聞けばわかることなので、これからキャンプをする方には、しっかり説明を聞いていただきたいですね」(前出・明瀬氏)

※写真はイメージ ©iStock.com

 さらに明瀬氏はこう続ける。

「キャンプとは日常を離れて大自然を自由に満喫するものというイメージが先走っていて、キャンプもまた利用者全員がマナーを守って作り上げる『共同生活』なんだ、という意識が薄いのかもしれません」

 だが物理的な壁のないキャンプ場だからこそ、日常生活以上に周囲への配慮が必要となることは言うまでもない。

「キャンプを単なる『レジャー』ではなく『文化』として定着させるために、実は今が大事なときだと思います。文化とは、共同性・学習・伝承によって支えられるもの。キャンプを楽しむためには学んで知ることが大切なんです」(同前)

 日本のキャンプ文化は、今まさに分水嶺に立っているのかもしれない。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2022年の論点100』に掲載されています。

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