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2 日本食は効率的ながん予防食だが、塩分の摂りすぎには要注意 

 こうした、国や地域間の食生活の違いは、病気の発生状況と大きな関連性を持っています。そして、世界中の研究者が指摘するように、日本人の食生活は、病気予防という意味では非常に優れた内容であるということができるのです。 

 個人差はありますが、毎日肉だけを食べていて満足する日本人は少数派です。昨日ステーキを食べたから、今日は魚を食べたい。季節ごとの旬の野菜もおいしいし、何より様々な食材が手に入る環境があります。 

 がん抑制効果が認められているイソフラボンを多く含む大豆食品などは、日本食以外で摂取することはきわめて困難です。しかし日本食では豆腐や納豆といった大豆食品を日常的に取り入れており、一回の食事で大豆だけでなく魚、肉、野菜など様々な食材をバランス良く食べることができるため、非常に効率的ながん予防食と言えるでしょう。 

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 そんな恵まれた環境に身を置く日本人が、唯一注意しなければならない問題が「食塩」。世界の研究者が羨む日本食の、唯一の欠点ともいえるのが食塩の過剰摂取なのです。 

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 日本食の味付けは、ほぼ食塩がベースにあります。味噌汁、漬物、干物、煮物と、あらゆる場面に食塩は入り込んできます。そのため、塩分摂取量の国際間の比較を見ると、日本食は世界の中でも突出して高い値を示しているのです。 

 塩分の過剰摂取は胃がんのリスクを高めます。高塩分の食材が胃に入ると、胃の細胞が産生している粘液の性状を変性させます。わかりやすく言うと、ナメクジに塩をかけたような状態になるのです。これにより胃の表面を保護する粘液が破壊され、粘膜組織が胃酸の攻撃を受けて炎症を起こしやすくなります。ここにヘリコバクター・ピロリ菌が悪さをすることで、胃がんの温床が出来上がっていくのです。 

 50歳以上の日本人の7~8割がピロリ菌を持っているか過去に持っていました。つまり、日本人の多くが、塩分の摂り過ぎで、自動的に胃がんのリスクを高める状況にあるのです。 

 日本人に限って言えば、塩分摂取量は少ないに越したことはありません。国際的な塩分摂取量の上限は「一日当たり6グラム」ですが、この数値は日本では高血圧の患者に対して奨励される基準。言ってみれば「病院食」の水準なのです。 

 日本の厚生労働省が推奨する塩分摂取量の上限は、男性が8グラム、女性が7グラム。これも医学的には多すぎる数字なのですが、ある意味、日本食の文化を失わないための妥協点――といった意味合いが強く、実際にはこの数値さえ順守できている日本人は僅かです(2013年の調査によると実際の日本人の一日当たり塩分摂取量は、男性11.1グラム、女性9.4グラム)。 

 日本のファミリーレストランで「和定食」などを食べると、それだけで10グラム程度の塩分を摂ってしまいます。同じファミレスのメニューでも、ハンバーグ定食なら、塩分摂取量は2~3グラムで済みます。健康に良さそうなイメージがある和定食のほうが、食塩量という点では、実は危険なのです。